育種学雑誌
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サツマイモ(Ipomoea batatas(L.)Lam.)の同一交配不和合群内品種間の体細胞雑種の作出
王、晶珊境 哲文田浦 悟佐藤 宗治國分 禎二
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1997 年 47 巻 2 号 p. 135-139

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抄録
サツマイモ(Ipomoea batatas(L.)Lam.)の交配不和合品種間の体細胞雑種の作出に成功した。交配不和合な2品種(B群)コガネセンガンとBitambiのプロトプラストをPEG法により融合処睡後,O.05mg/l2,4-DとO.5mg/lkinetinを含む1/2修正MS液体培地に置床して培養した。形成した1~2mmのカルスを2,4-DとkinetinあるいはABAを,又はNAAとBAPを添加したMS固形培地に移植した後,植物ホルモンフリー培地で培養した。培養した393個のカルスから45個体が再生した(Fig.1)。形態的特徴,染色体数及びDNA多型(RAPD)等の分析によって,2個体の再生植物体が体細胞雑種であることを確認した。葉形と頂葉色は融合両親の中間の特性を示し,染色体数は両親の和であった(2n=12x(2n+2n)=180)(Tab1e 1,Figs.2,3)。RAPD分析を行った結果では,融合両親の一部バンドを合わせ持ち,しかも両親には認められないバンドも有していた(Fig.4).圃場での生育は悪く(Tab1e 1),キダチアサガオに接木して誘導した花は奇形で,花粉稔性率はO及び12.2%であった。また,サツマイモ品種九州30号(C群)の花粉を受粉しても種子は得られなかった(Tab1e 1)。
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