抄録
酒米の心白については,粒長方向に対して垂直な軸で切断した横断面を用いて研究されてきた。一方,筆者らは縦断面を用いた画像解析法が,酒米品種の特徴を評価するのに有効なことを示した(秋山ら1996.1997)。そこで,酒米34品種を用いて縦・横断面の心白標準画像を作成し,両断面における心白発現の比較を行うとともに,両断面の心自評価の有効性について検証を行った。まず,すべての品種の縦・横断面の標準画像の比較から,両画像で見た心自発現パターンには整合性があることが分かった。すなわち,縦・横断面のいずれか一方の標準画像を作成することで,品種の持つ粒内における心白の分布情報を得ることが可能である。さらに,34品種における横断・縦断面上の平均心白程度の関係を調べたところ両断面で高い相関が得られ,横断面の調査により縦断面における心白程度を把握できることが示された。このことも簡単な心白評価には縦・横いずれかの断面図の利用が可能であることを示している。しかしながら,2,3の品種は他の品種にはない心白分布パターンをもっており,粒長方向と粒厚方向の心自発現について厳密な研究をするためには,両断面の標準画像の利用が必要である。