日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
重症敗血症患者に対するPMMA膜を用いたCHD療法施行時の回路内圧の検討
千葉 健太鈴木 泰渡邉 志保泉田 拓也高橋 学柴田 繁啓井上 義博遠藤 重厚
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2010 年 1 巻 1 号 p. 116-119

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抄録

重症敗血症は高サイトカイン血症を呈し,臓器障害や組織灌流低下をきたす重篤な病態である。Polymethylmethacrylate膜を用いたcontinuous hemodiafiltration(PMMA-CHDF)は敗血症性ショックも含めその臨床効果は多く報告されているが,当施設ではCHDF施行時は1時間毎にコンソール付属プリンターで回路内圧をモニタリングしているが,TMP上昇,濾過圧の低下が認められることがあり,PMMA膜のlife-timeが短縮し安定したCHDFが施行できない症例も存在する。そこでcontinuous hemodialysis(CHD)モードへ変更し,そのlife-timeが延長できるか確認するため,continuous renal replacment therapy(CRRT)での回路内圧の変化について検討した。今回われわれは,4例の重症敗血症,敗血症性ショック患者に対しPMMA-CHDを施行し1時間毎に回路内圧を検討したので報告する。2例でPMMA-CHD施行時に入口圧の上昇を認め,24時間以内に回路交換が必要とされた。他の2例では安定した回路内圧でPMMA-CHDが長時間施行できた。全例28日死亡率は0%であった。さらにPMMA-CHD施行症例を追加検討中であるが,PMMA-CHDは適量の抗凝固薬を使用すれば,PMMA膜でも十分なlife-timeが得られ,臨床的効果が十分期待できることが推測された。

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© 2010, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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