日本急性血液浄化学会雑誌
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総説
  • 平澤 博之
    2025 年16 巻1 号 p. 2-8
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    “Cytokine theory of disease”なる概念に立てば,多くの疾病はcytokineの血中濃度が高いことによって引き起こされるということになる。またcytokine血中濃度が高値を示す状態は“cytokine storm”と呼称される。しかし現時点では,cytokine stormの確立した診断基準はない。臨床の場では最も測定しやすいinterleukin-6(IL-6)を測定し,cytokine stormを診断し,制御するのが実践的であり,われわれはIL-6血中濃度が1,000pg/mL以上の場合にcytokine stormと診断し,対策をとることにしている。感染などの侵襲により発症してしまっているcytokine storm,およびその結果としての急性臓器機能不全に対する対策としては,cytokine吸着能をもつhemofilterを用いた持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration with cytokine‑adsorbing hemofilter:CAH-CHDF)が有効,有用である。

  • 山口 晃典, 三田 篤義, 園田 光佑, 今村 浩, 上條 祐司
    2025 年16 巻1 号 p. 9-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    重症患者の腎代替療法における血圧低下や除水困難に対し,長時間・頻回の透析に加え,高Na透析・低温透析・無酢酸透析・高Ca透析など,複数の透析手法を併用するmultimodal approach(MMA)の有用性が報告されている。MMAを用いると,間欠透析でもcontinuous renal replacement therapy(CRRT)と同等の循環動態や予後が得られ,循環が安定した症例や比較的軽症例においては間欠透析がCRRTよりも予後を改善する可能性が報告されている。MMAを用いた間欠透析が一部の患者群で予後を改善する理由としてはCRRT traumaの影響が考慮される。当院集中治療部では出血や栄養喪失などのCRRT traumaが問題となる患者でMMAを用いた間欠透析の利用を検討している。

原著
  • 岡本 恵介, 福島 英賢, 川口 昌彦, 鶴屋 和彦
    2025 年16 巻1 号 p. 18-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    本邦における持続的腎代替療法(continuous kidney replacement therapy:CKRT)の血液浄化量の決定様式は,海外と異なり,保険診療の制限による固定された透析液・置換液の処方量のため体重に依存し,患者ごとに異なる血液浄化量となっている。本研究は,この本邦独特の血液浄化量の決定様式が,年齢による生存率の差にどのような影響を与えるかを後ろ向き観察研究により検討した。当院でCKRTが施行された494例を75歳以上と未満,さらに血液浄化量を中央値以上と未満により4群に分けて解析した結果,血液浄化量が高い群は年齢にかかわらず90日死亡率の低下と関連していた。とくに高齢患者では低体重により相対的に血液浄化量が高く,これが予後改善に寄与した可能性が示唆された。本研究結果は現行の固定された透析液・置換液の処方様式が年齢による予後の差を小さくしている可能性があり,体重によって血液浄化量が変動しない処方様式への変更を再考する必要性を示唆している。

  • 山香 修, 福田 理史, 吉田 圭介, 内村 鴻一, 天神原 崇, 河村 将熙, 西牟田 舜, 平湯 恒久, 高須 修
    2025 年16 巻1 号 p. 24-28
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】AN69ST hemofilterは,陰性荷電のため抗凝固薬のnafamostat mesilate(NM)を吸着除去するが,NM吸着能の経時的な変化の報告はない。NM吸着能の低下は,出血リスクが増加する可能性があるため,NM吸着能の経時的変化を検討する。【方法】sepXiris®150と多用途血液処理装置のPrismaflexを用いて持続的腎代替療法を施行した症例のうち,脱血側回路のみからNMを投与し,脱血側と返血側回路の両方から活性化凝固時間(activated coagulation time:ACT)を測定した74症例,295データを対象とした。CKRT開始からACT測定をした経過時間を6区分に分けて,その時の返血側ACT値を比較した。【結果】返血側ACT値は,中央値と四分位範囲でそれぞれ12時間:162秒(IQR 145, 185),12~24時間:201秒(IQR 178, 227),24~36時間:229秒(IQR 190, 263),36~48時間:246秒(IQR 224, 274),48~60時間:248秒(IQR 229, 302),60時間以上:249秒(IQR 228, 267)であり,開始時と比較して有意な延長を認めた(P<0.01)。【結論】AN69ST hemofilterのNM吸着能は経時的に低下する可能性が示唆された。

  • 佐藤 詩歩, 木村 竜希, 江間 信吾, 中島 芳樹, 安田 日出夫, 加藤 明彦
    2025 年16 巻1 号 p. 29-32
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)施行時において,Life Timeに影響する因子の検討を行った。2018年1月から2023年12月までに,従来エンドホール型カテーテル(GentleCathTM)および楕円形エンドホール型カテーテル(Power Trialysis®)を使用し,CRRTを施行した617例を対象とした。Life Timeに対する検討項目は,これまでに報告されている回路内凝固の予測因子とカテーテルの種類とした。重回帰分析の結果,血小板数(Plt),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),可溶性フィブリン(SF)とともにカテーテルの種類がLife Timeに有意に相関することが示され,とくにPower Trialysis®にてLife Timeが延長した。さらに,Life Timeに対する影響度を検討した結果,Pltに次いでカテーテルの種類が2番目にLife Timeに影響することが示された。CRRT施行時のLife Timeは,カテーテルの種類も重要であり,Power Trialysis®はLife Timeを延長できることが示唆された。

  • 大規模災害時における血液浄化療法施行のための多角的検討
    矢田 哲康, 平山 隆浩, 内海 清乃, 樋口 知之, 三木 隆弘, 阪本 太吾, 大場 次郎, 土田 善之, 冨永 直人
    2025 年16 巻1 号 p. 33-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,災害拠点病院における圧挫症候群(crush syndrome:CS)の受け入れ状況および血液浄化療法施行の可能性について,実態把握と課題抽出を目的とした。全国の災害拠点病院770施設(2023年4月時点)を対象として質問紙調査を実施し,170施設(回答割合22.1%)から有効回答を得た。調査の結果,CSの受け入れについて170施設中148施設(87.1%)が可能と回答したが,受け入れ経験がある施設は66施設(44.6%)であった。血液浄化療法装置を155施設(91.2%)が所有していた。小児(15歳未満)への血液浄化療法については,61施設(35.9%)が提供可能と回答したが,平時から実施している施設は28施設(18.9%)であった。今後,CSに対する知見・経験の共有,医療スタッフの育成・確保,とくに小児血液浄化療法における診療体制の強化が求められる。

症例報告
  • 坂口 大剛, 川地 宏志, 横山 達郎
    2025 年16 巻1 号 p. 40-43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    間質性肺炎の急性増悪(acute exacerbation of interstitial pneumonia:AE-IP)は致死率の高い疾患である。近年,AE-IPに対するエンドトキシン吸着療法(polymyxin B-immobilized fiber column direct hemoperfusion:PMX-DHP)の有効性が報告されている。症例は60歳台男性,呼吸苦を主訴に受診し,AE-IPによる呼吸不全の診断で人工呼吸管理を行った。気管挿管後の動脈血液ガス分析で高二酸化炭素血症を認め,経胸壁心臓超音波検査の所見は右心不全であった。Hemodiafiltration(HDF)とPMX-DHPの併用療法を行い,循環作動薬を使用して全身管理を行った。血液浄化療法施行後から高二酸化炭素血症は改善し,右心機能も回復した。積極的に腹臥位療法と早期呼吸リハビリテーションを行い,抜管に成功した。

  • 岡田 修一, 金本 匡史, 長谷川 豊, 江連 雅彦, 内藤 滋人, 中村 紘規, 佐々木 健人, 森下 寛之
    2025 年16 巻1 号 p. 44-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    症例は66歳,男性。非持続性心室頻拍による失神発作に対して植込み型除細動器植込みを行い,肥大型心筋症に対してコハク酸シベンゾリン(CZ)300mg/日を投与されていた。2週間前から食欲が低下し,全身脱力感が増強して体動困難になり,当院に救急搬送になった。低血糖54mg/dL,心電図でQRS波の著明な延長,高度腎機能障害(BUN 57.1mg/dL,CREA 7.46mg/dL)を認め,筋無力症様の症状を認めた。血中CZ濃度は2,591ng/mLで,CZ中毒の診断になった。炭酸水素ナトリウム注射液では補正できない代謝性アシドーシスを認め,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)も合併していたことから持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)を開始した。AKIは改善し,CZ中毒の症状も改善した。血中CZ濃度が正常値になったことを確認して退院した。【まとめ】早期のCHDF施行により,AKIは改善し,さまざま合併症が改善し良好な経過を得ることができた。

  • 林谷 俊和, 青木 一憲, 原田 晋二, 加藤 愛美, 川本 昌平, 宮下 徳久, 黒澤 寛史
    2025 年16 巻1 号 p. 47-51
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    1歳1ヵ月,男児。川崎病に対する遠心型血漿交換療法を3日間連続で行った。3日目の血漿交換療法中に急激な循環不全を呈した。著しいイオン化カルシウム濃度低下を認め,補正後に循環動態は速やかに改善した。遠心型血漿交換は置換効率が高く,低血液流量で施行できるため,末梢動静脈路のみで行えるという利点がある。しかし,抗凝固薬であるクエン酸が代謝能を超えて蓄積すると,イオン化カルシウム濃度低下やアニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスを引き起こし,循環不全を招く可能性がある。このクエン酸蓄積はまれだが重篤な合併症であり注意を要する。小児でのリスク因子は十分に解明されていないが,臨床的には総カルシウム/イオン化カルシウム濃度比上昇やアニオンギャップ開大が指標になり得る。小児の遠心型血漿交換療法中はバイタルサインやこれらの検査値の厳密なモニタリングが必要であり,集中治療室かそれに準じた体制で施行すべきである。

  • 井手 岳, 竹田 健太
    2025 年16 巻1 号 p. 52-55
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー

    メトトレキサート(MTX)大量療法は白血病や悪性リンパ腫に対する有効な治療法である一方で,重篤な副作用としてMTX中毒を引き起こす可能性がある。MTX中毒に対する治療には,解毒薬であるグルカルピダーゼの投与の他に,血漿交換,血液透析,血液吸着(direct hemoperfusion:DHP)などの血液浄化法が有効とされている。今回,MTX中毒に対して24時間のDHPおよび持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)を施行した症例を報告する。DHPのクリアランスは開始直後で84.5mL/min,24時間後で32.1mL/minであった。一方,CRRTのクリアランスは開始直後で35.7mL/min,12時間後で30.7mL/minであった。DHPは24時間経過後も一定のクリアランスを維持しており,MTX中毒に対する有効な治療選択肢としての可能性が示唆された。

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