日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
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原著
  • 山上 雄司, 村田 剛士, 花田 知也, 神納 幸治, 伊藤 雄介
    2025 年16 巻2 号 p. 61-66
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    【目的】日本国内における血漿交換療法(TPE)は膜分離法(mTPE)が一般的だが,海外では遠心分離法(cTPE)が広く施行されている。当院で小児症例に施行したmTPEとcTPEの比較検討を行ったので報告する。【方法】2022年10月から2024年4月までの症例を対象とし,2群間の施行条件,バスキュラーアクセス(VA),全身麻酔の有無,非鎮静下TPE施行回数,有害事象を後方視的に検討した。【結果】症例はmTPE 10症例(合計39回),cTPE 9症例(合計42回)であった。施行症例の年齢,体重はcTPEで有意に高く,施行時間はcTPEで長く,血漿置換量もcTPEで多い傾向にあった。VA確保の際に気管挿管,全身麻酔を要した症例はmTPEが5症例で,cTPEでは認めなかった。非鎮静下TPE施行回数はcTPEで有意に多かった。有害事象はmTPEでは脱血不良,cTPEで返血不良が多かった。低カルシウム血症の出現頻度に有意差を認めなかった。【結論】小児においてもcTPEは有用な治療選択肢であり,その長所,短所を理解し,mTPEと使い分けることが望まれる。

症例報告
  • 東 千夏, 長井 幸二郎, 田中 聡
    2025 年16 巻2 号 p. 67-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    急性腎障害(acute kidney injury:AKI)に対する腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)の適切な開始時期についてはいまだ議論の余地がある。敗血症性ショックに伴うAKIに対して持続血液濾過透析を導入して救命することができた症例を基に,RRTの開始時期について考察する。呼吸困難で救急搬送された88歳の男性は,敗血症性ショックの集中治療中にAKIを発症し,当科に紹介された。無尿が続きBUN 102mg/dL,Cre 4.82mg/dL,K 4.9mEq/L,HCO3− 21.2mmol/Lであり入院18時間後にRRTが開始され,第4病日に離脱した。ガイドラインでは敗血症性AKIに対する早期RRTの推奨は弱いが,実際の臨床現場では各施設の体制や患者背景の重症度に応じて適切な時期にRRTを開始することが重要である。

  • 大森 教雄, 關 夏海, 塚田 奈津希, 青柳 幹, 藤原 彩香, 川上 祐希, 佐藤 直己, 児野 徹, 野田 俊輔, 北村 真友
    2025 年16 巻2 号 p. 71-73
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    本邦では従来,血漿交換療法(plasma exchange:PE)は主に膜分離法で実施されてきたが,近年では遠心分離法PE(centrifugal therapeutic plasma exchange:cTPE)が導入されつつある。今回,持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)とcTPEを直並列で実施した非典型溶血性尿毒症症候群の9歳男児例を経験した。CHDF回路の透析カテーテルから脱血直後に多流量型の三方活栓を2つ接続し,cTPEを組み込む形で直並列接続とした。機器トラブルや圧アラームの異常を認めることなく,円滑に実施できた。一方,cTPEは単独で実施する場合,末梢静脈路と動脈路で送脱血が可能で,治療時間を短縮できる点で特徴があるが,CHDFとの併用時にはこれらの利点は生かされない。さらに,プライミングボリュームの増加や特定保険医療材料であることから,CHDFとcTPEの直並列の接続は選択肢となるが,適応は慎重に検討する必要がある。

  • 吉岡 正訓, 藤堂 敦, 増田 善文, 中野 健一, 坂口 美佳, 有馬 秀二
    2025 年16 巻2 号 p. 74-79
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    新生児の血液浄化療法は,体外循環に必要な血液量の割合が大きく,低血流量による回路凝固や体温管理の難しさなどの課題が伴う。本症例では,新生児仮死後にAKIを発症した日齢4日の男児に対し,ACH-Σ®を用いたCKRTを実施し,新生児・小児血液浄化療法条件シートや有血充填マニュアルを活用することで,体外循環の安定化を図った。また,有血充填,透析液補正,血液加温器による体温管理を行うことで,血行動態を維持でき,低血流量による回路内凝固や抗凝固薬管理に対しては,ACT管理や抗凝固薬の分配投与にて凝固対策を行った。一方で,血小板減少に伴う出血リスク,カテーテル関連の塞栓症や感染症などの課題が残る。本報告は,CKRT施行における実践的知見を示し,新生児血液浄化療法の標準化および治療成績向上を目指した取り組みの一助となることを期待し,臨床工学技士の立場から安全面などについて検討を行った。

技術・工夫
  • 山﨑 慎太郎, 松本 舞, 城尾 和司, 山内 和也, 鳩本 広樹, 村西 謙太郎, 森本 紳一, 川野 恭雅, 仲村 佳彦
    2025 年16 巻2 号 p. 80-84
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    【はじめに】持続的腎代替療法(CKRT)の各種ヘモフィルターのサイトカイン吸着クリアランスを比較した。【対象と方法】単施設前向き登録研究で実施した。2021年5月〜2023年3月の期間に,当センターICUでCKRTを導入した成人患者を対象とし,各種ヘモフィルターのサイトカイン吸着クリアランスを比較した。【結果】対象患者は23名で,IL-8の吸着クリアランスはAN69ST群で54.9(44.2〜62.1)mL/min,PMMA群で10.6(2.0〜20.0)mL/min,PS群で5.3(-8.6〜11.1)mL/min,CTA群で6.0(-2.0〜15.1)mL/minであり,AN69ST群が最も高い吸着クリアランスを示した(p<0.01)。【結語】AN69STはPS,CTA,PMMAいずれのヘモフィルターよりもIL-8の吸着クリアランスが有意に高かった。

  • ケアと教育,多職種との連携
    井川 梨恵, 安藤 順子, 瀬戸 裕佳, 工藤 千賀子, 芝田 香織, 小野 浩平, 中田 正悟, 安部 隆三
    2025 年16 巻2 号 p. 85-90
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    急性血液浄化療法は,重症患者に対する救急医療において必須の治療法であり,施行中の患者の看護は重要である。当センターは看護配置4:1で,安全にCRRTが施行できるよう,看護ケア,チェックリストを用いたCRRTの管理,新人看護師や異動者への教育,多職種との連携を実施している。今後は,患者の苦痛の緩和やPICS予防のケアを積極的に実施し,CRRTが必要な患者が早期に回復できるような看護を実践したい。

  • 山口 夕輝, 菊池 義彦, 志賀 英敏
    2025 年16 巻2 号 p. 91-94
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    急性血液浄化は,集中治療の領域において,重篤な疾患・病態に対して施行される。とくに持続的血液濾過透析の対象疾患は急性腎障害や心不全,肺水腫,敗血症など重症症例であり,急性期の集中治療において必要不可欠である。また,持続的血液濾過透析の施行時,人工呼吸や補助循環などさまざまなデバイスが施行されており,血行動態が不安定である症例が多く,より的確な判断および迅速な対応が必要である。当センターでは臨床工学技士は,夜間帯,オンコール体制となっており,看護師が,アラームの初期対応,除水速度の変更,抗凝固薬や透析液,置換液の交換を行っている。臨床工学技士から積極的に看護師に声をかけ,持続的血液濾過透析の不安を軽減させるようアプローチしていくことが重要である。また,多職種連携が,医療安全や治療の質の向上に重要であると考えられる。

  • 宮下 徳久, 黒澤 寛史
    2025 年16 巻2 号 p. 95-99
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    【背景】重症小児患者に対する急性血液浄化療法の課題は多く,本邦におけるデータも少ない。【目的】小児集中治療患者における急性血液浄化療法の実態を明らかにすること。【方法】2016年5月〜2024年3月に兵庫県立こども病院小児集中治療室において持続血液透析,持続血液濾過透析を施行した15歳未満の患者を後方視的に検討した。【結果】症例は48例,年齢中央値4歳1ヵ月,体重12.6kg。持続血液透析が31例,持続血液濾過透析が17例であった。生存退室は29例(60%)であり,血液腫瘍性疾患2/7例(29%),心停止後3/10例(30%),先天性心疾患5/13例(39%),膜型人工肺併用6/18例(33%)で低かった。合併症は静脈内血栓,頭蓋内出血がそれぞれ1例であった。Renal Indicationでの導入において,死亡群で入室から腎代替療法開始までの時間が長く,体液過剰が大きかった。【結語】本研究は症例数の少ない単施設報告のため記述研究にとどまる。多施設の症例集積が必要である。

  • 關 夏海, 大森 教雄, 塚田 奈津希, 青栁 幹, 藤原 彩香, 川上 祐希, 佐藤 直己, 児野 徹, 野田 俊輔, 北村 真友
    2025 年16 巻2 号 p. 100-104
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    小児で持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)と体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)の併用は,バスキュラーアクセスの確保が困難である理由からECMO回路へのCRRT回路の接続が多く行われている。しかし,接続方法は標準化されておらず施設ごとに試行錯誤が続いている。当院では,2021年にECMO回路の特注回路を用いて遠心ポンプと膜型人工肺の間の側枝回路部分にCRRT回路の返脱血回路をそれぞれ接続する方法を考案した。この方法ではECMO回路の陽圧部分に接続するため空気混入のリスクが減少し,膜型人工肺での血栓や空気をトラップする利点がある。一方で高圧部分に接続しているためCRRT装置の脱血圧,差圧アラームが頻発することがある。本接続方法も小児におけるECMOとCRRT併用の有効な接続方法の選択肢になり得る。

  • 青木 拓史, 藤城 和樹, 島峰 逸朗, 渡邊 恭通, 柏 公一, 久保 仁, 井口 竜太, 土井 研人
    2025 年16 巻2 号 p. 105-109
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    持続血液濾過法(CHF)施行時,補充液流量の増加により,十分に加温されない補充液が血液回路内に流入し,体温低下の要因となる可能性が指摘されている。また,前希釈法では補充液流量を後希釈法よりも多く設定することができるため,血液回路内の温度低下がより顕著になる可能性がある。そこでわれわれは,補充液流量,補充液加温温度の血液回路の温度変化への影響を明らかにするために実験を行った。補充液を加温せず補充液流量を増加させると回路内温度は著明に低下し,37℃,40℃まで加温した。補充液の流量を増加させると回路内温度も上昇する傾向を示したが,脱血部位を上回ることはなかった。CHF施行時は,補充液を加温して血液回路内の温度低下を抑える必要があるが,補充液の加温のみで温度低下を防止することは困難であることが示唆された。

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