日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
重症急性膵炎治療における持続的血液浄化療法の意義
徳井 研太鳴海 敏行宮崎 真一本多 仁大濱 和也井上 勉鈴木 洋通
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2010 年 1 巻 1 号 p. 131-135

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抄録

当院の重症急性膵炎に対する持続的血液浄化療法(CBP)の現状を調査し,CBPの意義について検討した。2005年4月1日から2009年9月30日までにCBPを行った重症急性膵炎19症例を対象としretrospectiveに調査した。補正Ca値はCBP導入時で8.43±1.14mg/dL,離脱時では9.35±1.00mg/dLと有意な上昇を認めた。白血球数,CRPはCBP施行に伴い低下傾向を示し,導入前と離脱時では白血球数:15.25±6.22×1000 /μL,12.23±6.68×1000/μL,CRP:21.31±11.75mg/dL,13.8±8.68mg/dLと有意に減少を認めた。水分のIN-OUTバランスに関して,CBP導入前は多くの症例でIN-OVERであったが,除水を行うことでゼロに近づき,理想的な体液バランスを保つことができた。重症急性膵炎の治療においてCBPが果たす役割に関しては諸説あるが,水分や溶質・電解質のコントロールを主とした体液管理のためにCBPは重要な治療手段の一つである。近年,急性腎障害を呈した重症患者において,厳密な体液量管理が生命予後に深く関わる事が明らかとなっており,今後もCBPの積極的な利用が期待される。

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© 2010, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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