日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
持続的血液浄化装置ACH-Σの使用経験
相馬 泉佐々木 健志山中 昭広南 茂金子 岩和山崎 健二峰島 三千男岡崎 聡一郎
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2010 年 1 巻 1 号 p. 74-81

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抄録

今回われわれは,新規に開発・発売された持続的血液浄化装置ACH-Σ(旭化成クラレメディカル社)の安全面に関する性能評価を行ったので報告する。評価内容として,液系バランス機構の誤差性能,新規採用されたエアフリー圧力チャンバの長時間使用,装置使用前点検項目と組立・プライミングに関する点を従来装置であるACH-10との比較の4点とした。液系バランス機構のゼロ除水時の誤差性能はメーカー公表値は0.5%であるが,水系実験の結果は0.02~0.09%と良好な結果であった。ACH-10と比べても誤差性能は低値でありこれは,従来3液それぞれを別の重量計で計測していたものを3液をひとつの重量計で計測する方式に変更した結果,誤差が小さく抑えられたものと考えられる。エアフリー圧力チャンバはドリップチャンバとは異なり,空気に接触することなく回路内圧を測定できることから長時間の回路使用が可能と考えられた。今回の検討ではドリップチャンバとの間で回路使用時間の延長はみられなかった。治療開始前の使用前点検項目は従来装置と比べ,43項目から24項目に減少しており装置自己診断機能の充実が伺えた。本装置は自動プライミングとガイド機能によって組立・プライミングを行うが,スタッフの習熟度や専門性によらず同様なパフォーマンスが得られることが示唆された。これらのことから,ACH-Σが従来装置に比べ安全性での向上が見られることを確認できた。

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© 2010, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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