2023 年 13 巻 2 号 p. 85-90
急性血液浄化療法は,とくに腎障害を合併した重症者管理における主要な治療手段の一つである。急性血液浄化療法開始の至適タイミングについては,近年相次いで大規模なランダム化比較試験の結果が報告され,急性腎障害のステージ分類や経過時間のみに依拠した「早期開始」に臨床アウトカム改善効果が乏しいという結果が多かった。一方,急性血液浄化療法の離脱時期についての検討は少なく,尿量を参考としつつも担当医がおのおの離脱時期を決定しているのが現状である。本稿では急性血液浄化療法の開始・終了時期についての既存のエビデンスに触れた上で,最近実施された「バイオマーカーによる持続的腎代替療法実施患者の生命予後および離脱成否の検討(多施設前方視的観察研究)」について報告する。開始時の尿中NGALや血中IL-6は患者の生命予後と関連し,離脱時の尿中NGALは離脱成功を予測する指標となる可能性が示唆された。