日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
アミロイド免疫療法の現状と問題点
柴田 展人
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 22 巻 4 号 p. 237-240

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抄録
アミロイド免疫療法は脳組織に沈着したアミロイドを免疫反応により減少させ,その後の神経細胞変性を生じにくくさせる治療である。当初開発されたAN1792ワクチンでは高頻度に脳髄膜炎が合併したが,脳組織からアミロイドの減少が確認されている。現在bapineuzumab を中心に,より安全なアミロイド免疫療法が第3相臨床試験に入っている。アミロイド免疫療法は抗原もしくは抗体を投与するが,それぞれのメリット,デメリットがある。アミロイド免疫療法の継続においては,頭部MRI検査を定期的に実施しながら,血管原性浮腫をモニタリングすることが重要である。周辺症状の目立つ症例では,頭部MRI検査施行には困難な場合も予想される。Apolipoprotein E4(APO E4)遺伝子型が血管原性浮腫のリスクを高めるが,APO E4以外のリスク因子の同定も今後の重要な課題である。
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© 2011 日本生物学的精神医学会
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