日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
最新号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 牧之段 学
    2024 年 35 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 石田 康
    2024 年 35 巻 1 号 p. 2-5
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    中枢ドーパミン(DA)神経の機能異常と関連する疾患には,パーキンソン病,レストレスレッグス症候群,トゥレット症候群,注意欠如多動症(ADHD),覚醒剤その他の物質依存症,精神作用物質使用による精神病その他,統合失調症以外にも数多くの疾患が挙げられる。本稿では,筆者らが過去に手掛けたパーキンソン病,ADHD,物質依存症,統合失調症の症状モデルを用いた基礎研究を紹介し,統合失調症のドーパミン仮説を再考する。これらのDA関連疾患を概観すると,それぞれの疾患の症状が,DA活性の高低だけでは規定できない多様なものであることがわかる。この傾向は,取りも直さずDA神経機能異常と各DA関連疾患との疾患特異性の低さを物語っているものと考える。
  • 柳下 祥
    2024 年 35 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    生物医学研究ではゲノム変異などの病因を動物モデルで再現し,この動物モデルで病態を解明することで,新規診断手法や治療薬開発をするというのが定石である。しかし,統合失調症をはじめとした精神疾患のゲノム研究からほとんどの精神疾患は少数のゲノム変異で今のところ説明できず,単純にこのアプローチをとるのは難しいことがわかってきている。また臨床研究で多様な環境因子が同定されているが,環境因子の動物モデルへの翻訳はゲノム変異のように明瞭ではない。一方,モノアミンは薬物療法の標的でありその重要性・関与は明らかであるが,意外にも多様なモノアミンが多様な受容体に対してどのように作用して脳機能を調節しているのか基本的なことがよくわかっていない。このような状況で動物モデル研究を進めるには,精神疾患の症状が生じる神経回路・分子シナプス細胞機序をモノアミンを基軸に明らかにし,このような神経基盤が遺伝環境要因によりどのように影響を受けるのかを探索することで突破口がみえてくるものと考えている。
  • 朴 秀賢
    2024 年 35 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    精神科でもっとも患者数が多いうつ病の診療では,有効率が不十分であるにもかかわらずモノアミン仮説に基づく抗うつ薬がいまだ治療の主役であり,診断に有用なバイオマーカーがいまだ存在せず誤診が多いのが現状である。したがって,モノアミン仮説に代わる新たな病態仮説に基づくうつ病の新規治療・診断法開発が望まれている。うつ病の新たな病態仮説として注目されているのが,うつ病により低下した成体海馬神経細胞新生が治療により増加するという,神経細胞新生仮説である。この仮説は基礎研究により確立したが,生きているヒトで神経細胞新生を検出できないため,実際にうつ病患者の海馬神経細胞新生が低下しているのかはいまだに不明である。そこで本稿では,まず成体海馬神経細胞新生について概説したうえで,うつ病の神経細胞新生仮説を支持する研究成果を紹介し問題点を指摘する。最後に,神経細胞新生仮説の問題点を克服するための方法について議論する。
  • 塩飽 裕紀
    2024 年 35 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症にはさまざまな病態背景があり異種性が指摘されている。それらの病態候補の一つが自己免疫・自己抗体に関連するものである。自己免疫性脳炎における神経系に対する自己抗体の発見から,自己免疫性精神病の概念を経て,統合失調症で神経系に対する自己抗体が報告されるようになり,統合失調症における自己抗体病態がさらに検証されるようになってきている。本稿では,筆者らが発見したシナプス分子に対する新規自己抗体である抗NCAM1自己抗体や抗NRXN1自己抗体をはじめ,統合失調症における新規の自己抗体とその探索アプローチを概観し,自己抗体が統合失調症でどのような病態を形成するかを考察する。これらの自己抗体病態が仮説から脱却して実臨床に還元されるためには,自己抗体病態を改善させる治療研究が必要であり,そこから生まれた治療が実際に日常診療で行われるようになることが重要である。
  • 西澤 由貴, 篠崎 元
    2024 年 35 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    せん妄は精神科臨床でよく出会うことの多い疾患であり,入院中の高齢者に頻発する予後不良の病気である。このため,早期発見と介入が重要だが,見落とされることが多く,適切な治療が提供されていない。現在一般的に使用されているConfusion Assessment Method(CAM)などのせん妄スクリーニングツールは感度と特異度に優れているとされるが,多忙な臨床環境では感度が大幅に低下することが報告されている。一方,せん妄はEEGで検出できることが古くから知られており,すべての電極からのdiffuse slowingとよばれる低周波数の波が特徴的な所見と考えられている。しかし,電極の配置や解釈には専門的な知識が必要であり,装置自体も大型であるため,スクリーニングツールとして使用するのは困難である。そこで筆者らは,せん妄の特徴的な所見に着目し,限られた数の電極から得られる脳波を用いてせん妄の検出とその結果を予測する独自のアルゴリズム「bispectral EEG(BSEEG)」を開発した。本稿では,これまでの研究の概要とその展開,最近の報告を紹介する。
  • 山梨 豪彦, 篠崎 元
    2024 年 35 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    せん妄の発症を予防することが重要であることに議論の余地はない。せん妄予防に関する取り組みの報告は数多くあるが,単一の予防法のみでは効果が不十分であったり,必ずしも広く適用できないことから,さまざまな角度から新規介入の可能性を検討することが必要である。筆者らはせん妄予防の候補物質として加齢性疾患を改善し抗老化作用を有する可能性が報告されているメトホルミンと,せん妄の病態に大きく関与していると想定される炎症を抑制する抗炎症薬に着目した。これらの薬剤の使用がせん妄リスクの低下および死亡率の低下にかかわると仮説を立てた。これらの仮説に基づき,これまでの研究でリクルートした患者のデータを調査し,各薬剤とせん妄リスク,および死亡率の関係について検証した。  2型糖尿病(DM)患者のメトホルミン使用とせん妄の有無の関連を調べたところ,メトホルミン使用歴はDM患者のせん妄のリスクの減少および3年死亡リスクの低下と有意に関連していた。抗炎症薬のせん妄予防効果および死亡率の低減効果についての検証では,NSAIDsの使用歴がせん妄の有病リスクの低下と関連する傾向と1年死亡リスクの低下と関連が示された。これらのデータは,メトホルミンとNSAIDsが新たなせん妄予防の候補物質として今後検討される意義を示している。
  • 八田 耕太郎
    2024 年 35 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    せん妄に対する介入法は,エビデンス水準の高さからは非薬物的介入が先行しているが,せん妄は明瞭に生物学的基盤をもつ病態であるため,非薬物的介入に限界があるのも事実である。薬物療法による介入のエビデンスは徐々に蓄積されつつあり,治療では抗精神病薬,予防ではメラトニン神経伝達やオレキシン神経伝達へのアプローチが挙げられる。せん妄は生命予後不良の兆候であり,転倒転落や認知症発症のリスクを上昇させ,医療経済的な負担を増大させることから,その予防の重要性がますます認識される時代にある。薬物療法による介入もその方向に展開することが社会の要請であり,進展するせん妄の病態機序仮説に添った方略の展開が求められていくであろう。
  • 篠崎 元
    2024 年 35 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,せん妄の発症メカニズムにおけるエピジェネティクスの役割を解明することをめざしたこれまでの研究を概説する。まず,DNAメチル化とせん妄発症の関連に焦点を当て,Grady Trauma Projectコホートを用い,TNF‐alpha遺伝子のメチル化が年齢と負の相関を,同時に発現が正の相関をすることを見出した。この傾向は,脳のグリア成分でも保たれていることを確認したが,ニューロンでは失われていることを報告した。さらに,せん妄患者と非せん妄患者の比較から,せん妄群におけるTNF‐alpha遺伝子のメチル化低下が示され,せん妄発症におけるこの変化の重要性が示唆された。また,神経栄養因子遺伝子のメチル化パターンの年齢依存的な変化も観察され,これがせん妄リスクの増加に関連している可能性も示された。最後に,せん妄患者と非せん妄患者間のDNAメチル化パターンの違いをゲノム網羅的に分析し,免疫応答や細胞活性化の経路に関連する遺伝子のメチル化変化を特定した。これらの結果は,せん妄の発症メカニズムにおけるエピジェネティックな変化の重要性を強調している。
  • 越山 太輔
    2024 年 35 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症の病態の解明に役立つことが期待される脳波指標に,ミスマッチ陰性電位やガンマ帯域の神経オシレーションが知られている。これらの脳波指標は統合失調症での障害が繰り返し報告され,臨床症状との関連が明らかにされている。またこれらの脳波指標は動物でも測定可能なことからモデル動物を用いた基礎研究での活用も進んでいる。さらにMRIによる大規模研究において統合失調症でみられる大脳灰白質および白質の構造変化について近年報告が相次いでいる。次の段階に研究を進展させるためには,これらの大規模研究の成果をこれまでに得られている神経生理学的知見と融合させ統合的に理解し,大局的な神経ネットワークの障害として把握する必要がある。統合失調症における新たな神経ネットワーク障害が明らかになれば,ヒトでは難しい侵襲を伴う病態の研究が動物実験によって可能になり,新たな治療法の開発の礎になることが期待される。
  • 陳 冲
    2024 年 35 巻 1 号 p. 52-54
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
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