日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
精神科医でもある大学院生が行っている神経発生研究
吉永 怜史久保 健一郎仲嶋 一範
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 30 巻 3 号 p. 120-125

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抄録

ヒトがなぜ精神疾患にかかるのかを解明するためには,精神疾患の発生学的理解が重要である。大脳皮質だけとっても,ヒトは多くの領野が細胞構築的にも機能的にも分化しており,疾患脳において異なる病的意義を有している。脳発生にも領域差がありうる。しかし,脳発生の領域差についての知見は乏しい。脳全体が多様な細胞からどのようにできてくるかを徹底的に理解して初めて,脳に内包されている脆弱性を見極めることが可能になると考えられる。この脆弱性と疾患脳との因果関係を議論することにより,病態形成の理解につながると期待される。正常発生の深い理解から,精神疾患の病因研究を進化させることを提案する。

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© 2019 日本生物学的精神医学会
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