抄録
アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患は,臨床症状と対応する局在領域の神経細胞脱落とグリオーシス,特異的タンパク蓄積を示す封入体により分類されているが,統合失調症や双極性障害などの精神疾患は現時点で病理学的に確定診断することが困難な疾患群である。精神科ブレインバンクは精神疾患の病態解明を目的として設立され,リスク遺伝子や特異的分子の同定,それらに関連する背景病理の解明をめざしている。神経病理学は既存の確立された神経変性疾患,血管障害や外傷,感染症,終末期の虚血性変化などを鑑別することがまず重要である。ブレインバンクの正確な病理診断を基に集積された多数例の病理組織や凍結試料の活用により,特異度や感度の高い生物学的指標の抽出,さまざまなゲノム研究や分子生物学的研究への対応が可能となり,客観的で再現性のあるdataの作成基盤が確立可能となる。