抄録
欧米とほぼ同時期に臨床試験が開始されたロボット手術もわが国においては,医療機器に対する承認に時間を要したが,現在 160台を越える da VinciRが導入され,いよいよ外科系の各領域での普及が期待される.この間わが国における低侵襲外科治療は内視鏡外科手術を中心に発展をとげ,世界有数の内視鏡外科手術の医療水準を有する国となっている.この状況の中で,今後ロボット手術が本邦で普及するにあたっては,ロボット手術のコスト見合う診療報酬を確保できるかという医療制度の問題と,手術のクオリティを担保する医師の教育・トレーニングが課題となるが,さらにロボット手術の安全性の担保とロボット手術ならではのエビデンスを発信する必要がある.