臨床化学
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原著 赤血球StromaのATPase活性と基質透過性
藤井 達三小泉 欣也
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1972 年 1 巻 4 号 p. 443-446

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抄録
基質や補助因子の添加のもとで測定されるヒト赤血球stromaのATPase活性に対する, stroma調製および保存法の影響を検討した。
赤血球の1回の低張処理によって得られた stromaにおいては, そのMg-ATPaseおよび Na-K-sensitive ATPase活性ともに非常に低いが, このstromaをホモジナイズすると活性は著しく増大する。stromaを繰返し低張処理すると, 測定されるATPaseは急激に増大し, 計3回の低張処理以後で最大値に達し, もはやホモジナイズしたあとでもそれ以上の上昇を見ることはない。しかしながら, このようなstromaも, 調整後すぐに等張溶液に浮遊させて一夜放置すると, かなり低い酵素活性を示すようになる。これらの結果から, 赤血球stromaのATPase活性測定値は, 反応混液中に添加した基質や補助因子に対するstromaの膜透過性の程度によって左右されることがわかる。
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© 日本臨床化学会
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