日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 52
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ポスター 24
決定木分析を用いた内側開大式高位脛骨骨切り術後患者における 活動性を予測する要因の検討
*瀧原 純初鹿 大祐
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抄録

【目的】

活動性低下はWorld Health Organizationにおいて死亡に寄与する危険因子として位置付けている。我々は内側開大式高位脛骨骨切り術 (以下OWHTO)を施行した患者の術後の活動性に影響する因子を検討し、膝伸展筋力と膝の症状が活動性に影響することを明らかにした。この研究では各変数間における相互関係がわかりにくく、変数の具体的な閾値を示すには至らなかった。そこで変数の相互関係を示し、かつ具体的な閾値を求められる決定木分析に着目し、活動性を予測するためのモデルを提示することを目的とした。

【方法】

対象はOWHTO後患者59例(男性30例/女性29例, 年齢 58±12歳, 手術側:右側25例/左側34例, Kellgren-Lawrence分類 (以下, KL分類):Ⅱ41例/Ⅲ17例/Ⅳ1例とした。術前と術後6カ月に膝関節伸展及び屈曲可動域,膝伸展筋力を評価した。また,日本語版Knee Society Scoreを用いて膝の症状と活動性を評価した。統計学的分析は,術後6ヶ月の活動性を従属変数,独立変数を性別,年齢,KL分類,体格指数,術前と術後6ヶ月の膝関節伸展可動域・膝関節屈曲可動域・膝伸展筋力・膝の症状として,Classification and regression tree法による決定木分析を用いて検討した。最後に決定木モテ ルによって分類されたクルーフ 間における活動性の比較をKruskal-Wallis検定及び post-hoc検定(Steel法)を用いて実施した。統計解析ソフトウェアはR Ver.4.2.3のrpartとpartykitパッケージを用い、統計学的有意水準は5%とした。

【結果】

術後6カ月の膝の症状と膝伸展筋力を含む決定木モテルか 生成された。本モテ ルて は第1層て 術後6カ月の膝の症状か 第1選択肢となり,15.5点を境に2群に分かれた.次いて 第2層て 術後6ヶ月の膝伸展筋力により2群に分かれた.これらの要因に基つ き3グループ(node2,4,5)に分類された.すなわち,術後6カ月の膝の症状が18.5点未満のク ルーフ か node2に分類された.3ク ルーフ 間の活動性を比較した結果,node2に分類されたク ルーフ は他の2つのク ルーフ よりも有意に活動性が低かった。

【考察】

人工膝関節置換術後患者において膝関節の疼痛が活動性に関連することが報告されており、OWHTO術後患者を対象とした本研究でも同様に支持した。活動性が最も低いグループに関しては術後6カ月では膝の症状の改善が十分ではない可能性がある。またこれを阻害している原因を評価し長期的にアプローチする必要性が示唆された。

【倫理的配慮】

研究はヘルシンキ宣言に基づき行われた。対象者には事前に方法・目的・倫理的配慮を説明し書面にて同意を得た。また、同意の撤回がいつでも可能なことを説明した。 yobotak1

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