抄録
我々は骨格筋由来Troponin I (TnI) と免疫交差反応を示さず, 血清中の心筋由来TnIを特異的に検出するELISA法を開発した。本法はTroponin T (TnT) 測定に見られるヘモグロビンの影響をうけない。集団検診者87名によるTnIの平均値±標準偏差 (mean±SD) は0.271±0.087μg/lであり, 心筋梗塞患者を対象としたTnlの経時的変動は CK-MBの変動とよく一致し, そのピークはmean+2SDの約120倍を示した。TnIとCKの相関係数はr=-0.081 (n=46), TnIとCK-MBとの相関係数はr=0.214 (n=51), TnIとTnTとの相関係数はr=0.687 (n=55) であった。心筋障害や損傷のマーカーとして, TnIはTnTに代わる新しいマーカーである。