臨床化学
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腎透析患者における好中球活性酸素産生能に対する温脾湯投与の影響について
菅野 和久徳永 賢治二宮 裕幸三潴 忠道佐伯 修一村瀬 光春武内 望篠原 力雄石黒 伊三雄
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1995 年 24 巻 3 号 p. 163-169

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抄録
腎透析患者 (Hemodialysis patients: HD患者) に対する活性酸素の関与について好中球活性酸素産生能, 血中superoxide dismutase (SOD) 値およびメチルグアニジン値を測定し, 臨床的に腎疾患に用いられる温脾湯 (漢方薬) を投与して, その作用について調べた。好中球の産生する活性酸素量はフローサイトメトリーとチトクロームC還元法で測定した。HD患者は健常人に比して無刺激あるいは, phorbol myristate acetate (PMA) 刺激による活性酸素産生能は両者共に有意に上昇した。HD患者に温脾湯を投与し好中球活性酸素産生能, 血中SOD値およびメチルグアニジン値の変動を調べた。それぞれは, 投与前値に比して有意に低下した。次に好中球活性酸素産生に対する温脾湯の作用についてPMA, N-formyl-methionyl-leucyl-phenyla-anine (fMLP) およびオプソニン化ザイモザン (OZ) を刺激剤としチトクロームC還元法にて検討した。PMA刺激では温脾湯は好中球活性酸素産生能を抑制するが, fMLPおよびOZ刺激では抑制しないことが明らかとなった。
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© 日本臨床化学会
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