抄録
亜急性期の急性心筋梗塞症 (AMl)における診断指標として, 乳酸脱水素酵素 (LD) のアイソザイム1型 (LD-1) および総活性比 (LD-1/LD比) の有用性を検討した。AMl20例における心筋逸脱酵素の経時的な変動では, LD-1およびLD一1/LD比は48時間から168時間まで全例異常値を示し, 発症後360時間後の異常値率はそれぞれ58%および64%であった。AST, ALT, CK, CK-MBは2日以降は急速に正常化した。また, 1か月間の外来患者の中でAST, ALT, CK, CK-MBが正常でLD-1およびLD-1/LD比がともに異常を示した症例が20例あり, そのうち5例がAMIで, その他は狭心症2例, 心不全2例, 肺塞栓症2例, 心電図異常3例, 悪性腫瘍3例, 外傷3例と診断された。AMIの5例はすべて1~2週間が経過していた。このことは, LD-1およびLD-1/LD比が無症候性や亜急性期のAMl診断に有用な情報を提供してくれることを示唆している。