臨床化学
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急性心筋梗塞症の亜急性期診断における血清中乳酸脱水素酵素アイソザイム1型およびその総活性との比の有用性
岡田 誠今井 秀一沢田 尚久
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1996 年 25 巻 2 号 p. 97-103

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抄録
亜急性期の急性心筋梗塞症 (AMl)における診断指標として, 乳酸脱水素酵素 (LD) のアイソザイム1型 (LD-1) および総活性比 (LD-1/LD比) の有用性を検討した。AMl20例における心筋逸脱酵素の経時的な変動では, LD-1およびLD一1/LD比は48時間から168時間まで全例異常値を示し, 発症後360時間後の異常値率はそれぞれ58%および64%であった。AST, ALT, CK, CK-MBは2日以降は急速に正常化した。また, 1か月間の外来患者の中でAST, ALT, CK, CK-MBが正常でLD-1およびLD-1/LD比がともに異常を示した症例が20例あり, そのうち5例がAMIで, その他は狭心症2例, 心不全2例, 肺塞栓症2例, 心電図異常3例, 悪性腫瘍3例, 外傷3例と診断された。AMIの5例はすべて1~2週間が経過していた。このことは, LD-1およびLD-1/LD比が無症候性や亜急性期のAMl診断に有用な情報を提供してくれることを示唆している。
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