臨床化学
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血清コリンエステラーゼ日本臨床化学会勧告法試案および各種測定法の特異性に関する検証 (第二報)
市原 文雄刈米 和子飯塚 儀明高笠 信之大澤 進
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キーワード: HSA, DMBT, 非酵素的水解, DTNB, 2-PDS
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1999 年 28 巻 2 号 p. 84-90

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抄録
第一報にて, 日本臨床化学会 (JSCC) 勧告法試案および欧州臨床検査標準化協議会 (ECCLS) 勧告法にてtetraisopropyl pyrophosphoramide (TIPA) 阻害後の残存活性が認められること, またその残存活性は, ヒト血清アルブミン (HSA) 濃度に比例することを報告した。今回, その原因解析のための検討を行なった。試案の試薬組成のうち基質のみ2, 3-dimethoxybenzoylthiocholine iodide (DMBT) からbenzoylthiocholine iodide (BZTC) に替えたところ, 残存活性は認められなかった。また試案へのsodium dodecylsulfate (SDS) 添加による蛋白変性試験において, 血清コリンエステラーゼ (CHE) 活性値は1/10程度に失活したが, TIPA阻害後の残存活性はSDS無添加の場合とほとんど変わらなかった。以上より, JSCC試案における残存活性の原因は, アルブミンによる基質DMBTの非酵素的水解である可能性が示唆された。またECCLS勧告法では, 十分な測定可能範囲が得られず, 比例定量性に問題を残した。一方, 生成チオコリンの検出系の評価実験から, 5, 5'-dithiobis (2-nitrobenzoate)(DTNB) より生成する5-thio 2-nitrobenzoate (TNB) は, 分子吸光係数がHSA濃度により変動するのに対し, 2, 2'-dipyridildisu-fide (2-PDS) より生成する2-thiopyridone (2-TP) はその影響を受けにくいことが確認された。
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© 日本臨床化学会
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