臨床化学
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血清タンパク分画検査でβ-γ分画間に検出されるMタンパクの鑑別法
宮下 徹夫永瀬 昌史橋本 寿美子関口 光夫岩田 進矢内 充熊坂 一成河野 均也
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2001 年 30 巻 4 号 p. 272-279

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抄録
AES630型自動電気泳動装置に支持体として用いられているセパラックスSP膜は, セパラックスやセパラックスSにくらべ分離能が向上し, Mタンパクの見逃しが少なくなったが, フィブリノゲンの出現パターンは従来の支持体のように弓状とはならず, β-γ分画間にMタンパク様バンドとして出現するため, フィブリノゲンとMタンパクの鑑別が困難である。フィブリノゲンの有無を手軽に確認する方法としてラテックス凝集反応を利用したフィブリノゲン検出試薬が市販されているが, 血中FDP濃度が高値の患者血清で偽陽性を生ずる場合や, Mタンパクにφ分画が重なった場合にMタンパクの判定を誤る危険がある。また, セパラックスSP膜では, フィブリノゲンとほぼ同じ易動度に, CRPによるMタンパク様バンドが出現することが確認された。そこでわれわれは, Mタンパクの判定をより確実に実施するために, FDP採血管に添加されている試薬による, φ分画消去法を検討して, フィブリノゲン検出試薬の利用を効果的に組み合わせたMタンパク鑑別法を考案し, 日常検査に導入した。その結果, 免疫学的確認試験でMタンパクが検出されなかった事例が減少した。フィブリノゲンやCRPによるMタンパク様バンドが合理的に鑑別可能となったことが影響しているとおもわれた。
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© 日本臨床化学会
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