臨床化学
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血中BNP測定値に及ぼす検体保存条件の影響
藪内 博史三谷 典映北垣内 佳予子島岡 光美建島 澄子増谷 喬之岡本 康幸
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2004 年 33 巻 3-4 号 p. 187-191

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抄録
脳性ナトリウム利尿ペプチドbrain natriuretic peptide (BNP) は, 血液検体保存中に分解されることが知られている。最適な検体保存方法を探るため, 種々の検体保存条件がBNP値に及ぼす影響について検討した。BNPの分解を最も抑制したのはEDTA+アプロチニン入り血漿で, 6時間後でほぼ90%以上の残存率を示した。EDTAだけでは, この効果は減弱した。血清中では急速なBNP値の低下がみられたが, EDTAとアプロチニンを加えた場合では, 冷蔵保存で良好な残存率を示した。“プロテアーゼ阻害剤カクテル”は, ほぼEDTA+アプロチニンの場合と同程度の効果を示した。カクテルの成分では, ロイペプチンが最も良好なBNP残存率を示した。これらの結果より, BNP測定のための検体を数時間凍結せずに保存する場合は検体へのアプロチニンの添加と冷蔵保存が必要であると考えられた。
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© 日本臨床化学会
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