臨床化学
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AFPの糖鎖異常から疾患プロテオームへ
三善 英知谷口 直之
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2006 年 35 巻 1 号 p. 30-36

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抄録
肝癌の腫瘍マーカーとして広く知られるAFP (αフェト蛋白) は、肝硬変などの慢性肝疾患でも陽性を示すため、肝癌特異的なAFP-L3分画を測定することがある。AFP-L3分画というのはAFPの糖鎖にフコースという糖が結合することによって検出される。筆者らは約10年前にこの糖鎖合成に関与するα1-6フコース転移酵素 (FUT8) の遺伝子クローニングに成功し, ヒト肝癌で何故AFP-L3分画が産生されるかを研究してきた。またFUT8ノックアウトマウスは、生後3日以内に70%のマウスが死亡し, 生存例では肺気腫様の病変が認められる。最近ようやく, このFUT8ノックアウトマウスに見られる肺気腫様病変の発症機構の解明に成功した。本総説では, フコースという糖鎖1つに大きな生物学的な意味があることを, 疾患プロテオーム (この場合はグライコーム) の立場から紹介したい。
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