臨床化学
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ファルネソイドX受容体を介した胆汁酸による生理機能の制御
頭金 正博
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2006 年 35 巻 2 号 p. 136-143

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抄録
コレステロールから生合成される胆汁酸は, 胆汁の主な構成成分として小腸での脂質の吸収を促進するなどの界面活性剤として生理機能を発揮していると考えられてきたが, 1999年になって胆汁酸が核内受容体の一種であるファルネソイドX受容体 (FXR) のリガンドとして機能することが明らかになった。この研究を契機として, 胆汁酸の新規機能に関する研究が大きく展開し, 胆汁酸はFXRを介して胆汁酸生合成の律速酵素であるチトクロムP450 7Alの発現を制御しているのみならず, 胆汁酸の腸管循環を制御している胆汁酸トランスポーター等の発現を制御していることが明らかになった。また, 最近ではFXRを活性化することによって, 糖尿病マウスでの高血糖や高脂血症を改善することが報告され, 胆汁酸は胆汁酸生合成や腸管循環の制御のみならず脂質代謝や糖代謝も制御している可能性が指摘されている。
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© 日本臨床化学会
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