抄録
測定結果の信頼性を不確かさを用いて表すことが国際ルールとなりつつある。われわれは, 臨床検査で用いられる吸光光度分析法に関し, 日常検査値の不確かさ, またキャリブレータの表示値の不確かさ推定法について, 測定法の校正を毎回実施する場合と, 一定間隔で実施する場合に分けて報告した。今回は, 検量線が非線形となる測定法を取り上げ, その測定値の不確かさ推定法について, 事例をあげ具体的手順を含めて報告する。最近は免疫化学分析法など検量線が非線形となる測定法が多く用いられるようになったが, それら測定値の信頼性を表現する方法については十分な議論がない状況である。そこで今回は, 検量曲線作成に用いる標準物質を不確かさ評価用試料として用い, その繰返し測定値から不確かさを推定する方法を提案する。