臨床化学
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乳酸脱水素酵素活性の温度補正に関する研究 (第2報)
NADアナログを用いたLDHサブユニット含量の測定と温度補正の改良法
菰田 二一坂岸 良克美津島 宏
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1975 年 4 巻 2 号 p. 169-178

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抄録
ヒト健常人並びに患者血清におけるLDHの温度換算係数が異なることは, LDHの乳酸生生成反応による測定法によってすでに報告したが, 今回は, 乳酸を基質とした場合の温度補正について検討した。ヒト臓器からのH4及びM4酵素標品間における温度換算係数の差異は, 患者血清, 健常人血清で最も大きく, この差異は, H及びMサブユニット含量に基づいていることが考えられた。
Arrheniusの式によるプロットの結果は, 先の報告2)と同じように2相性の直線関係が得られた。しかし屈曲点が37℃となった。また酵素の構造変化と耐熱性は測定pHによってかなり影響を受けることがわかった。
またNAD (450mM乳酸), TNXD (15mM乳酸) を使用してLDH活性を求めた場合が, H及びMサブユニット間におけるLDH活性の開きが最大となった。このNAD/TNXD比を用いた方法は従来の方法である電気泳動法によるLDHサブユニット含量比率とほぼ一致した。
さらにこのNADアナローグを用いたLDHサブユニット含量を温度補正に適用したところ, いずれの疾患血清においても精密なLDH活性値が得られることがわかった。
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© 日本臨床化学会
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