静脈学
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総説
後腹膜平滑筋肉腫―特に下大静脈浸潤に対する外科治療―
進藤 俊哉多田 祐輔
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ジャーナル オープンアクセス

2002 年 13 巻 3 号 p. 211-216

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抄録

後腹膜平滑筋肉腫は稀であるが予後不良の疾患である.外科的に局所を完全に切除することが治療の第一選択であるが,再発率は高い.大血管,特に下大静脈に進展しやすく手術の際には血管損傷や肺梗塞の予防などの注意が必要である.下大静脈を巻きこんだ後腹膜平滑筋肉腫を当科で3例経験した.そのうち1例は初発例で2例は再発例であった.手術の際には腫瘍の被膜に沿った部位で剥離するのではなく,下大静脈を腫瘍から離れた部位で剥離し腫瘍とともに合併切除することで安全に局所切除することができた.下大静脈内の腫瘍先進部は静脈壁と固着性が弱く引き抜くことが可能であった.また再発例であっても術後生命予後と生活の質の改善が得られた.このように大血管に進展した後腹膜平滑筋肉腫は,その血管を周囲組織から鋭的に剥離し腫瘍とともに合併切除することで完全な局所切除が可能であると考えられた.

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