2024 年 3 巻 1 号 p. 282-288
道路施設の点検は2019年度より2巡目に入り,点検結果や診断等に関するデータが蓄積されてきた.また,整備が進んできたデータベースの活用が期待されている.一方で,市町村では修繕等の措置についての着手および完了率が低水準であることや災害対応力の低下が指摘されている.本研究では,道路橋点検や避難施設等のデータを用いて,強地震動の作用により被災して通行不可となった道路橋が,避難者の避難距離に及ぼす影響を検討した.埼玉県内の市町村が管理する道路橋を対象として解析した結果,道路橋の通行不可により到達圏の面積が4割以上減少する避難施設があることが明らかとなった.本研究により,データベースの活用事例および修繕等を促進する検討事例を示すことができた.