抄録
近年, 公共事業の発注者である国, 地方公共団体において, 公共工事の領域におけるコスト縮減のための方策の一つとしてVEを導入している. 本文は, 国の直轄事業に先行してVEを導入した地方公共団体と民間企業におけるVEの実施状況およびその後に国の直轄事業で導入したVEの特徴, 実施事例, 実施効果および今後の課題について考察することを目的としている. これまでの事例などにおけるレビューを踏まえて, より早い事業段階でVEを導入する必要性, 会社の枠を越えての技術者の参加, 積極的なインセンティブを付与する制度の確立, コスト縮減以外の効果の評価, 法令・要領の改訂と柔軟な運用等の点について提案した.