日本がん看護学会誌
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再燃前立腺癌患者に対する癌ペプチドワクチン療法の第Ⅰ相臨床試験におけるリサーチナースの役割
末次 典恵田村 真由美久冨 瑞穂野口 正典伊東 恭悟
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2002 年 16 巻 2 号 p. 79-88

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抄録

要 旨

本研究は,癌ペプチドワクチン療法という,新しい癌治療の第Ⅰ相臨床試験で得られた知見をまとめ,ワクチン療法を受ける再燃前立腺癌患者に対する看護と本臨床試験におけるリサーチナースの役割を明確にすることを目的とした.

ワクチン投与によって起こりうる主な有害事象は,①投与部位の発赤・腫脹・掻痒感,②骨転移部の疼痛の出現,あるいは増強,③血尿,および④発熱で,身体面の看護のポイントが明らかになった.臨床試験開始時の患者の心理では,患者は臨床試験に対して新しい治療への期待と不安が交錯しており,試験中の臨床効果の有無が大きな関心であることがわかった.ワクチン投与による身体的苦痛をできる限り軽減し,患者の疑問に応じることが患者の不安の軽減につながるという見解が得られた.また,リサーチナースは臨床試験の実施において,その中心に存在し,患者の看護のみならず,臨床試験チームの調整役として重要な機能を果たしており,リサーチナースは臨床試験の質の向上に大きく関与していることが示唆された.

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2002 一般社団法人 日本がん看護学会
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