2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_57-780_69
近年, 鋼床版箱桁橋において数多くの疲労損傷が報告されており, その原因究明および補修補強が急務となっている. これらの損傷は, 車両輪荷重の直接作用による板の複雑な挙動に起因すると考えられるが, そのメカニズムには不明な点が多い. 本研究では, 実際に疲労損傷が多く報告されている鋼床版箱桁橋を対象として, 溶接部周辺の板の変形挙動およびそれに伴う局部応力に着目し, 疲労損傷の発生メカニズムについて詳細に検討した. 本研究では実地測定結果と詳細なモデルを用いたFEM解析により亀裂のタイプごとに支配的となる板の変形挙動と応力の発生特性を明らかにした.