土木学会論文集
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2005 巻, 780 号
I-70
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
[投稿論文]
英文論文
和文論文
  • 片桐 信, 高田 至郎
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_15-780_25
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    連続体の破壊解析法として, 新しくFEMとDEMの結合解析法を提案する. 提案する解析法は, 3つの個別要素を1つの正三角形有限要素で結合したものである. 連続体の破壊は, その材料特性に応じた適切な式により有限要素の応力もしくはひずみで判定され, 有限要素の破壊後は, 当該要素は消滅しその節点を中心とした3つの個別要素が生成される. 提案する解析法の有効性は, 種々の材料特性を有する連続体の静的, 破壊および再接触解析により検証されている. さらに, 提案法の1適用例として, 盆状基盤を有する不整形地盤の動的応答解析を行い, 求められた地盤変位分布から地中管路の被害推定を試みた.
  • 水本 学千, 坪井 利弘, 三浦 房紀
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_27-780_40
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本研究は, 3次元有限要素法を用いて断層の破壊過程, くい違い量, 地表の残留変位の解析および生成される断層近傍における地震動のシミュレーションをパラメトリックに行い, その違いを比較検討したものである. まずstrike slipによるくい違い量を対象に他の研究結果との比較検討を行って, 本手法の妥当性を検証した. 次に断層面上の初期応力の方向を変化させて徐々にdip slip成分を加え, 断層の破壊方向の変化によるくい違い量, 地震波形の違いを調べた. さらにdip slipの場合を対象に, 断層の幅を一定に保ち, 長さを変化させて破壊伝播の様子, くい違い量, 地震波形を求めその違いを調べた. あわせて2次元有限要素解析も行い, 3次元, 2次元両者の解析結果の比較を行い, その類似性および違いを検討した.
  • 楊 仲元, 川上 英二
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_41-780_56
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本研究ではアレー観測された8つの地震に対して地表面近傍での地震波動の3次元的伝播方向を推定した. 地表および地中の多地点での水平2方向および鉛直方向の3成分の地震記録を用いて, 基準入力―出力最小化 (NIOM) 法により, 震源から地表面への入射波および地表面からの反射波の到達時刻の関係を求め, 地震動の伝播方向を推定した. 推定された地震波動の伝播方向は, 水平および鉛直方向共に, 震源と観測地点の地図上の位置関係と地殻の水平層速度構造モデルから得られる理論解とよく対応していることが判った. しかし, 鉛直軸との角度は理論解では約0-4度であるのに対し, 観測結果では約0-20度と幾分大きいという結果が得られた.
  • 三木 千壽, 菅沼 久忠, 冨澤 雅幸, 町田 文孝
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_57-780_69
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    近年, 鋼床版箱桁橋において数多くの疲労損傷が報告されており, その原因究明および補修補強が急務となっている. これらの損傷は, 車両輪荷重の直接作用による板の複雑な挙動に起因すると考えられるが, そのメカニズムには不明な点が多い. 本研究では, 実際に疲労損傷が多く報告されている鋼床版箱桁橋を対象として, 溶接部周辺の板の変形挙動およびそれに伴う局部応力に着目し, 疲労損傷の発生メカニズムについて詳細に検討した. 本研究では実地測定結果と詳細なモデルを用いたFEM解析により亀裂のタイプごとに支配的となる板の変形挙動と応力の発生特性を明らかにした.
  • 紀平 寛, 田辺 康児, 楠 隆, 竹澤 博, 安波 博道, 田中 睦人, 松岡 和巳, 原田 佳幸
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_71-780_86
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    耐候性鋼の超長期にわたる腐食減耗予測法について研究を行った. さび安定化概念にもとづく思想を体系的に展開し, 腐食速度パラメータを推定するアルゴリズムや数式モデルの立案, 地域気象情報のデータベース化, 簡易な飛来塩分量および硫黄酸化物量の推定法などを策定した. 複雑な計算過程を容易に操作できるよう, 内桁条件における腐食減耗予測シミュレーションソフトウェアも開発した. 前記の思想展開により, 設計にて考慮すべき予測腐食減耗量を見極めるための工学的指標群を初めて具体的かつ体系的に整理・提案し, 長期耐久性の実現に関わる数多な構成技術要素保障項目の関連性を明確にした. 今後の進化へ向けて検討すべき点を明らかにしつつ, 現在までの進捗内容を詳細に報告する.
  • 鈴木 康夫, 山口 隆司, 北田 俊行
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_87-780_96
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    高力ボルトL型引張継手は, 摩擦接合に比べて構造的にも美観的にも優れた継手となる場合があるため, 箱型断面部材接合部等への適用法の確立が期待されている. しかし, これまでL型引張継手の力学的挙動を詳細に検討した研究は少なく, L型引張継手が実構造物に採用されるに至っていないのが現状である. L型引張継手は, T型引張継手と違い, 構造の非対称性, すなわちティーウェブ板とボルト軸心との偏心により, ティーウェブ板には面外曲げが発生し, それがティーフランジ板の変形挙動および付加ボルト軸力の発生状況に大きな影響を与えると考えられる. そこで, 本研究では, 母材の曲げ変形が終局限界状態に至るまでの力学的挙動, 特に継手面接触力と離間との関係に与える影響を解析的に検討している.
  • 貝沼 重信, 細見 直史, 金 仁泰, 伊藤 義人
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_97-780_114
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    下路トラス橋において, 斜材がコンクリート床版との境界部で局部腐食することで破断した事例が報告されている. この部位は波形鋼板ウェブPC橋のウェブとコンクリートフランジの境界部にも見られる. 今後, この境界部に致命的な腐食損傷が生じることも考えられる. 本研究では鋼構造部材のコンクリート境界部における経時的な腐食特性を明らかにするために, 部分的にコンクリートを巻き立てた鋼板の腐食促進実験を行った. この結果をバリオグラムと回帰樹により分析することで, 腐食特性の分類と腐食領域の分割を行った. また, 局部腐食が卓越する境界部と全面腐食が卓越する一般部などの腐食挙動を明らかにした. さらに, コンクリート境界部における鋼構造部材の腐食挙動の評価・予測法を提案した.
  • 下山田 英介, 川島 一彦, 渡邊 学歩
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_115-780_131
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    近年開発されたMRダンパーは, 内蔵されている磁気粘性流体を電気的に制御することによって, 少ないエネルギー供給で任意の減衰力を与えることが可能であり, これを用いたバリアブルダンパーの開発に注目が集まっている. バリアブルダンパーを用いる際には構造物の応答に応じた適切な減衰力を供給することが重要となるが, MRダンパーを用いると減衰力を制御するうえで時間的な遅れが生じることが確認されている. 本研究では, この時間遅れをできるだけ短くすることを目的として, PID制御を用いた新たなMRダンパー制御法を開発し, ダンパーの要素実験及び振動台実験を行うことによりこの制御法の有効性を検証した.
  • 大久保 宣人, 栗田 章光
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_133-780_143
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    連続合成桁の中間支点付近の負曲げモーメント領域における床版コンクリートのひび割れ対策は重要な課題である. その対策の一つとして橋軸方向にプレストレスを導入する方法があり鋼桁と床版が合成される前にプレストレスを導入することが可能なスタッドのグループ配置が有効である. 著者らはスタッドのグループ配置に着目し, 静的および疲労特性に関する基礎的研究を行い種々の成果を得た. しかし, スタッドをグループ化するときに床版コンクリートに設ける箱抜き孔周辺の応力集中が懸念されるため, 実物大の供試体を用い静的および疲労載荷試験により問題点のないことを明らかにした. さらに, これまでの研究成果を基に疲労の影響をも考慮した試設計を行いグループスタッドの連続合成桁へ適用性を確認した.
  • 内藤 純也, 西村 宣男
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_145-780_153
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本論文は, 鋼斜張橋の合理的なケーブル安全率について, 疲労安全性の観点から考察を行うものである. 検討の対象としたのは, 3径間連続鋼斜張橋であり, 中央径間長, ケーブル安全率を変化させて試設計したモデルである. ケーブルの疲労については, 設計で考慮される引張応力の変動だけでなく, 定着部での2次曲げによる応力変動も考慮し, 実働活荷重を模擬したモンテカルロシミュレーションによって疲労損傷度を評価する. 鋼斜張橋のケーブルは, 2次曲げ応力を考慮した場合でも十分な疲労耐久性を有しており, 安全率を変更したことによる疲労安全性の低下が小さいことを明らかとし, 安全率の設定方法について考察を行う.
  • 奥井 義昭, 本田 卓士, Qaiser-uz-Zaman KHAN, 長井 正嗣
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_155-780_163
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    連続合成桁中間支点部近傍のコンクリート床版におけるひび割れ幅算定用の有効幅推定式を提案している. 有効幅推定式の誘導において, ひび割れの影響を考慮した非線形3次元FEM解析を用いたパラメトリックスタディを実施している. パラメトリックスタディでは, 近年建設されている2主I桁橋の諸元を参考にして概略設計された3径間連続合成橋が用いられている.
  • 伊津野 和行, 川原林 浩, 長沼 敏彦, 西岡 勉
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_165-780_179
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本研究では, 摩擦面を有し鉛直荷重を支持する荷重支持板と水平方向の復元力を確保する水平荷重分散装置から構成されるすべり摩擦型免震支承装置の上揚力に対する性能を評価することを目的として, 実験および数値解析を実施した. その結果, 水平荷重分散装置は, 上揚力を受けた後も桁を水平方向に原位置へ引き戻すばねとしての機能を保持することと, 引張り耐力の点からは補強鋼板を入れた積層ゴムにすることが望ましいことを確認した. 荷重支持板については, 桁が支承面に落下しても, すべり摩擦型免震支承としての機能は保持することを確認した. 数値解析結果からは, 本解析対象橋では桁の鉛直方向の浮き上がりによる発生断面力の変動は無視できることを示し, 鉛直剛性の低い水平荷重分散装置を用いれば過大な引張上揚力の作用を防げることを示した.
  • 後藤 芳顯, 江 坤生, 小畑 誠
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_181-780_198
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚柱に要求される耐震性能をより確実に照査するには水平2方向成分の地震動の連成を考慮することが重要である. ここでは, まず, 名古屋工業大学で開発した精密な3次元載荷装置を用いて薄肉円形断面鋼管片持ち柱を対象に, 一定軸力下の最も厳しい2方向載荷方法の一つと考えられる変位制御による円形繰り返し載荷および1方向繰り返し載荷実験を行いその終局挙動特性を検討した. また, 鋼材の繰り返し構成則である3曲面モデルとシェル要素を用いた複合非線形解析の適用性についても確認した. つぎに, 複合非線形解析によるパラメトリックスタディを実施し, 2方向繰り返し載荷による履歴特性を1方向繰り返し載荷と比較することで, 2方向載荷による薄肉円形断面鋼製橋脚柱の耐震性能低下について定量的に考察した.
  • 杉本 博之, 阿部 淳一, 赤泊 和幸, 渡邊 忠朋
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_199-780_209
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    社会基盤施設に対する公的な予算投資は減額を余儀なくされている. ライフサイクルコストの観点から, 予防保全の最適性が強く説われつつも, 特に地方公共団体の経済的な困窮の中で, 直接かつ短期的に効果の見えない維持管理に対しては, 効果的な予算投資が行なわれないのが現状である. 本研究は, そのような状況を背景として, 北海道の一行政単位が管轄する橋梁群を研究対象とし, それらの維持管理に対する今後の予算投資シナリオをいくつか設定し, その下での橋梁健全度の推移を予想する. さらに, 健全度に関する制約条件の下で, 計画年度内における総投資額の最小化を試みる. それらの結果より, 橋梁の健全度に要求されるレベルと最適な予算投資シナリオの関係について考察を加えることを目的とする.
  • 山田 正人, 林 篤, 野澤 伸一郎, 依田 照彦
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_211-780_230
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    ソケット接合と呼ばれる柱梁接合構造について, 筆者らは, T形模型試験体を用いた静的単調載荷実験を行い, 本接合部の終局強度を推定する算定式を提案している. しかし, 実構造物への適用を想定した場合には, 繰返し荷重の影響, 外ダイアフラムの影響, 十字形接合部への適応性などについて検証する必要がある. そこで, 既に実施した一連のT形接合部の静的単調載荷実験に加え, 載荷方法や外ダイアフラムの寸法をパラメータとした追加実験および十字形模型試験体を用いた静的単調載荷実験を実施した. その結果, 終局強度に対する繰返し荷重と外ダイアフラムの影響を明らかにできた. さらに, 提案した終局強度算定式が十字形接合部へ適応が可能であることも示した.
  • 杉浦 邦征, 山口 隆司, 熊野 拓志, 渡邊 英一
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_231-780_239
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本研究では, 板幅方向にテーパーを有する鋼製周辺単純支持板の圧縮強度と変形能およびエネルギー吸収能を検討するため, 板厚変化量 (テーパー率), 幅厚比パラメータを変化させたパラメトリック解析を行った. 本研究で対象とした周辺単純支持変厚板は, 同一断面内で板厚を線形的に変化させており, 側辺部の板厚を厚くし板中央部を薄くした凹型, 側辺部の板厚を薄くし板中央部を厚くした凸型の2つのモデルに対して初期変形のみを考慮した弾塑性有限変位解析を行った. その結果, 板厚の変化しない周辺単純支持板と比べて, 側辺部の板厚を厚くし, 中央部を薄くした凹型の板では, 圧縮強度, 変形性能およびエネルギー吸収性能が向上することを確認し, 板幅方向にテーパーを有する変厚鋼板の有効性を示した.
和文ノート
  • 泉谷 恭男
    2005 年 2005 巻 780 号 p. 780_241-780_246
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    将来の大地震に対する強震動予測の際には, 地震の相似性が仮定されることが多い. 地震の相似性が成立しているとすると, 短周期震源スペクトル強度は地震モーメントの1/3乗に比例することが期待される. 鳥取県西部地域, 鹿児島県北西部地域, および宮城県北部地域で発生した地震について, K-NETとKiK-netの強震記録を解析して, 短周期震源スペクトル強度と地震モーメントの関係について調べた. その結果, これらの地震群については地震の相似性が厳密には成立していないことが明らかになった. 規模の大きい地震の方が, 単位モーメント当り, 応力降下量一定のω2モデルから期待されるよりも多くの短周期波動エネルギーを放出している.
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