2005 年 2005 巻 782 号 p. 782_1-782_10
本論文は, 代表的な集中型流出モデルであるタンクモデルにおいて, モデル定数の安定性および流出解析の精度の安定性を向上させるための手法を検討するものである. タンクモデルは, その定数の多さと柔軟性が原因となり, 特定の流域に対して最適な定数を一意に決めることが困難である. また, 定数の不安定さは長期流出解析における精度の不安定さをひきおこす. 本論文では, モデルの自由度を制限しつつ物理的な忠実度を向上させるために新たな制約条件をモデルに追加した. その結果, この新たな条件の導入によりモデルの安定性が向上し, 適切な制約条件を追加することによって, 短期間のデータからでも安定した定数を同定することが可能となることを示した.