2005 年 2005 巻 782 号 p. 782_11-782_30
トリクロロエチレンなどのDNAPL (Dense Non-Aqueous Phase Liquid:水より重い難水溶性液体) による土壌・地下水汚染の研究が盛んになり, その成果が浄化対策に活かされている. 著者らは, 室内モデル実験によりDNAPL浸透を可視化・計測し, フィンガー成長過程を定式化の上, 比較・検証した. その知見にもとづきDNAPL原液を重力沈降する液滴粒子としてランダムウォーク法で表現し, 粒子の空隙内残存過程をモデル化して, 高精度TVD (Total Variation Diminishing) 差分スキームによるDNAPL溶液の移流分散方程式と組み合わせた, 新しい移行解析モデル―差分連成ランダムウォーク法 (FD-RWM) ―を提案する. これを汚染現地に適用し, 汚染範囲にわたるDNAPL溶解量, 帯水層への浸入量, 残存量を算定することにより, 手法の有効性を確認した.