抄録
近年, コンクリート中の鉄筋に対してカソード防食が広く実施されるようになってきた. 我々は, コンクリート中の鉄筋に対するカソード防食の最適化を行うため有限要素法 (FEM) を利用した新しい数値解析技術を構築した. この計算法はイオン泳動, イオン拡散などのイオンの移動現象, 陽極及び鉄筋の分極現象, 及び, 陽極内部のIR低下を考慮している. 多くの電気化学的測定から得られた分極特性をFEM解析の境界条件として設定した. 鉄筋のあき, かぶりなどの幾何学的条件が防食電流に及ぼす影響を検討した. 鉄筋の分極特性の変化が防食電流に及ぼす影響も評価した. この計算手法により現実的な防食システムの正確な予測が可能となった. この手法が複雑な立体的構造物や多くの電気化学システムに適用できることを示した.