抄録
海岸地帯に架設された鉄筋コンクリート橋には, 輪荷重走行による損傷破壊だけではなく, 海洋の高温多湿の環境条件下での鋼材腐食による塩害損傷も常時発生する. 塩害による損傷に対する対策の1つとして, かぶりを増加させることが挙げられている. かぶり厚さを増加させるにつれて輪荷重に対する抵抗能力も増大する. しかし, その強度増加が十分に大きいとは限らない. 道路橋示方書では最小床版厚で規定され, 引張側のかぶりが大きい場合も同様に全厚で規定されている. また, ほとんどのせん断強度算定式はかぶり厚さをパラメータとして考えていない. 本研究では引張側かぶり厚さの異なる床版供試体を製作し, RC床版の押抜きせん断強度に対するかぶり厚さの影響を検討した.