抄録
膨張材の有効性を応力度として解析において推測する場合, 初期材齢の有効ヤング係数は解析精度の上で最も重要な力学的特性値の1つである. 本論文は, 場所打ちPC床版に用いる早強ポルトランドセメントによる膨張コンクリートにおける初期材齢の有効ヤング係数を一軸拘束供試体において拘束鋼材を解放する試験, およびインバー鋼を用いた一軸拘束供試体の試験から得られた結果から推測すると共に, 初期材齢時に生じるクリープによるヤング係数の低減係数について温度応力解析を用いて検討した. その結果, 土木学会コンクリート示方書に示される低減係数と異なり, 材齢初期の温度ピークまでは0.5と小さな値を, また温度ピークから材齢3日目までの早期に低減効果が終了するとしたクリープの低減係数を提案した.