土木学会論文集
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周期的圧縮荷重によるコンクリートの挙動
畑野 正
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1962 年 1962 巻 84 号 p. 19-26

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抄録

コンクリートおよびモルタルの各一種の供試体に0.60, 0.46, 0.31, 0.235, 0.18 secの5種類の周期で約50~140kg/cm2および50~200kg/cm2の2種類の圧縮応力振巾の周期的荷重を作用し, その動挙動を観察した。
くり返しの回数はすべて1万回とし, この後荷重を解放して残留ひずみを測定し, さらに破壊時間約100secの静的破壊試験を行なった。
周期的圧縮荷重によるコンクリートの各サイクルごとの応力とひずみの関係は, 破壊ひずみの112に近いひずみを生ぜしめた大応力振巾の場合ても直線的であった。この直線の勾配すなわち動的弾性率の値は, 同一応力周期につき1万回の間一定値を示し, 応力周期の小なるほど大となった。これから動的弾性率の逆数値が応力周期の対数値と直線関係にあるという結論を得た。
また1万同くり返し荷重後の残留ひずみは応力周期の大なるほど大となった,,動的弾性率ならびに残留ひずみの応力周期による変化を説明するための工学模型としてMaxwell-Kelvin bodyを想定し, その粘弾性常数を求めることができた。
1万回のくり返し後の静的破壊における破壊ひずみ (くり返し荷重を加える前の状態を起点としたすなわち残留ひずみをふくめた全縮み能力) は応力振巾, 応力周期のいかんにかかわらず, くり返し荷重を加えないで始めから一行程の破壊荷重を加えた場合の縮み能力と同一となった。また1万回のくり返し後の静的破壊強度は応力周期の大きいほど小となった。これからコンクリートの疲労には応力周期, 換言すれば荷重の作用している時間が大きく影響することが明らかになり, 応力振巾ならびにくり返し回数と応力周期との積が疲労破壊を決定する重要な要素であることが推定きれた。

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