1962 年 1962 巻 84 号 p. 98-118
本文は, ポゾラン, 岩石粉末などのコンクリートに用いられる鉱物質の微粉末がコンクリートのウォーカビリチーにおよぼす効果について, 特に微粉末の粒子形状および粉末度の影響を基礎的に研究した結果を述べたものである。試験には一般に用いられている微粉末の中から, その品質を代表するような数種を選び, これらを用いたペースト, モルタルおよびコンクリートについて, コンシステンシー, ブリージングなどを試験し, 微粉末の粒子形状がコンクリートのウォーカビリチーにいちじるしい影響をおよぼし, その理由が粉末粒子表面に保持されてウォーカビリチーに関係しない水量によるものであること, この粉末粒子の形状による保水性の程度はペーストのブリージングの試験によって求められる保水係数によってある程度のめやすを得ることができること, セメントおよび微粉末を用いたペーストの流動性はこれら粉末粉子のフロキュレーションの程度と密接な関係をもつこと, 粉末度の影響は粒子形状の影響に比べると少ないが, 粉末度が高いほどウォーカビリチーの改善に有効であること, などのことを明らかにした。