1969 年 1969 巻 171 号 p. 43-63
波浪条件の厳しい外海におけるケーソン防波堤の施工に関して, 主として波浪条件の特異性の観点から計画, 設計および施工上の各種の問題点を検討するとともに, 近年における施工方法合理化の成果を評価し, これを体系づけることを試みた。すなわち, 1-4章では近年における港湾整備計画の中で外海に面した開発港湾整備の現況と防波堤建設の比重の大きさについて述べ, ついで, 防波堤の施工上の観点から眺めた外海の特性を検討するとともに, 防波堤の構造様式のうち実用的ないくつかの様式を選んで施工上の観点から比較検討して現時点ではケーソン防波堤が最も実用的な構造様式であることを確かめ, さらにケーソン防波堤の施工計画に影響する主要な要因を詳細に検討して, 合理化を計る最も重要な一手法としての波浪予測の導入について述べた。5章ではケーソン防波堤施工上の各工種, すなわち基礎捨石, ケーソンの据付け, 中詰め, 蓋コンクリート, 上部コンクリート, 根固めブロック等のそれぞれについて問題点を指摘し, 過去数年間にわたって八戸, 小名浜, 鹿島等の各港の工事に際して実施した検討結果を述べた。本論文は以上によって外海におけるケーソン防波堤施工方法の合理化の成果を評価するとともに, これを体系づけることを試みたものである。