抄録
本論は, 繰返し荷重を受ける鉄筋コンクリート部材の耐力低下を合理的に予想し, 既設構造物の維持管理に必要な技術の一つを提供するものである. このため, まず, 定常繰返し圧縮応力を受けるコンクリートの累積損傷ひずみの進展と残存圧縮強度についての解析モデルを提案するとともに, 実験結果による例証を呈示した.
次に, 偏心軸圧縮荷重を受ける鉄筋コンクリート柱を対象とし, 繰返し回数の増加に伴う残存終局耐力について解析を行った. これは, 終局耐力を非定常確率過程とみなし, 一次近似二次モーメント法により圧縮破壊モードに対する破壊確率を合理的に算定するものである.
