抄録
本研究は, 一極集中や多極分散など様々な構造の人口分布を出現させ得る都市群システムをモデル化し, その構造を規定する諸要因, とりわけ交通ネットワークとの関係を分析する. モデルは集積の経済 (不経済) を反映した非線形システムであるため, 解析的な手法と数値実験の両方により各種パラメータと実現する構造の関係を把握していく. その際には, システムの均衡状態として実現する人口分布パターンが安定であるかどうかの検討が不可欠であるため, その判定条件を提示した上で判定をおこなっている.
以上の分析を通じて, 交通条件を規定するパラメータの変化に伴って集中と分散のパターンが出現することを示し, また, パラメータの組み合わせによっては不安定な構造が出現することを明らかにしている.