1996 年 1996 巻 542 号 p. 45-55
本研究では, 駐車場のサービス能力を評価するために, 駐車待ち時間を目的変数とするパフォーマンス関数を提案する. このパフォーマンス関数は, 従来の待ち行列モデルと比べて極めて簡潔であるが, 駐車場容量を考慮した複数窓口のモデルであり, かつ駐車待ち発生過程を内生化した合理的なモデルである. 実際, 駐車場実態調査のデータにより, モデルのパラメータを推定した結果, その説明力は極めて良好であることを確認した. このモデルは, 簡潔な構造ゆえに操作性は極めて高く, 確率的利用者均衡を規範とする駐車場需要予測のフレームの中で, 駐車場選択モデルとともに活用可能である. またこのモデルだけでも, 駐車待ち時間を目標水準とする容量決定問題に適用できる.