1996 年 1996 巻 544 号 p. 53-64
暑中に施工するマスコンクリート構造物の水和熱に起因する温度ひび割れを制御するには, あらかじめコンクリートの打込み温度を下げて施工するプレクーリング工法が効果的であり, 各種の工法ならびに方策が研究開発されている. ドライアイスは昇華点が-79℃であり, 昇華熱が573kJ/kgと高いために, 冷却効率に優れた冷却媒体と考えられた. 本文は, ドライアイスを用いた場合のコンクリートのプレクーリング工法の基礎研究について述べたものである. 主として, 室内実験レベルでの冷却効率についての実験結果の整理, コンクリートの中性化や, 冷却コンクリートのこわばりといったフレッシュ状態の品質の経時変化に関する問題と対応策, そして実用化する上での冷却システムについて述べた.