抄録
屋外における実用的な温熱感指標の導出を目的とし, 日射・風速・気温・湿度の4成分の気象要因を制御できる人工気象室を用いて, (1) 気象測定, (2) 人体生理反応測定, (3) 温熱感アンケート, の同時計測を行った. その結果, 1) 代謝量の時間変化は無視し得ること, 2) 発汗作用が人体熱収支および皮膚温変化に大きな影響を及ぼしていること, 3) 30分~1時間では発汗条件下にある人体の熱平衡が達成されていないこと, が明らかとなった. 実験結果を基に, 人体熱収支に基づいた新しい屋外用温熱感指標「仮想熱負荷量 (Virtual Themal Load)」を提案した. 本指標の最も重要な生理パラメーターである皮膚の湿り度 (β) は, 実験結果から仮想熱負荷量の一価関数として同定された. 仮想熱負荷量は温熱感ときわめて良い対応関係を示し, 本指標の有効性が確かめられた.