抄録
1辺19cmの花商岩の立方体に直径2cmの破砕孔を穿ち, 粘度1cPの水と粘度80cPの油を用いて水圧破砕試験を行い, AEや圧力, ひずみなどを測定した. 水圧破砕によって生じた亀裂の幅や亀裂の進展挙動, AEのメカニズム解などを比較した結果, 次のことがわかった. すなわち, 粘性が小さく浸透しやすい水を用いた場合には, 亀裂幅の小さな微細な割れ目が網の目状に造成される傾向があるのに対し, 粘性が大きく浸透しにくい油の場合には, 亀裂幅の大きい分岐のすくない板状亀裂が造成される傾向があることがわかった. このことは, 粘性の異なる破砕流体を用いることにより, 水圧破砕で生じる亀裂の性状をある程度制御できる可能性を示しており, 現実の高温岩体発電の貯留層造成にも有用と思われる.