土木学会論文集
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1996 巻, 547 号
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  • アミラ マヘル, 横山 幸満, 今泉 繁良
    1996 年1996 巻547 号 p. 1-10
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭の軸方向及び半径方向の変形性が, 埋込み杭の押込み時及び引抜き時の杭周面摩擦抵抗に及ぼす影響を3種類の材料 (アクリル, アルミ及び鋼) を用い, 4種類の載荷方法 (杭頭押込み及び引抜き, 杭底部引抜き2種) で模型実験 (通常の砂箱と遠心) により実験的に考察した. 押込み抵抗に対する引抜き抵抗の減少を, 杭材料のポアソン比, 杭の細長比, 地盤と杭の剛性比及び杭周面の摩擦特性を考慮したDe Nicola らの圧縮性パラメータηにより評価した. 押込み摩擦抵抗に対する引抜き摩擦抵抗の低下率は, ηの増加とともにある漸近値に到達し, 摩擦抵抗の低下を表す実験曲線は, 解析値と異なることを述べている.
  • 清水 則一, 垣原 裕, 寺戸 秀和, 中川 浩二
    1996 年1996 巻547 号 p. 11-22
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では岩盤を不連続体として直接捉え, 岩盤のブロックとしての挙動を把握することを目的とした計測変位を用いた逆解析手法を提案する. この方法は, Shi らの Backward DDA (Discontinuous Deformation Analysis) を利用して, 時々刻々計測される変位から現状のみならず, 将来の岩盤ブロックの変形挙動をも推定しようとするものである. そのために本方法では, 適応フィルタリングの手法を用いる. ここで提案する手法は不連続面の位置と方向 (幾何学的境界条件) は解析条件として必要であるが, 岩盤基質部および不連続面の力学定数ならびに外力 (力学的境界条件) は必要とせず, また, 岩盤ブロックの経時的変化を支配するパラメータをも同時に得られる特徴がある. 本論文では, 数値シミュレーションにより本逆解析法の妥当性を検討する.
  • 鈴木 隆次, 浜島 良吉
    1996 年1996 巻547 号 p. 23-38
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 岩盤を不連続体的に取り扱いかつ微小変形を仮定した静的解析の分野において, 要素の変形, 要素間での滑り, 開口を考慮可能な新しい不連続体解析手法を提案した. 本解析手法は, ハイブリッド型仮想仕事の原理を用いて定式化を行っており, 解の収束性の保証がないため, 最も厳しい条件である集中荷重載荷時の変形量をチェックした. その結果数%以内の誤差で解が求められることが示され, 多角形要素を用いた場合でも精度の高い解が得られることを明らかにした. また光弾性実験による不連続性模擬岩盤の応力伝達の解析と, 不連続面を含む石膏供試体の二軸圧縮試験に対する解析を行い, 解析手法の検証を行った.
  • 吉田 秀典, 堀井 秀之, 打田 靖夫
    1996 年1996 巻547 号 p. 39-56
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    亀裂性岩盤に対する解析手法として提案されたマイクロメカニクスに基づく連続体モデル (MBCモデル) の特徴は, 個々のジョイントの挙動に着目した連続体解析であること, したがってジョイントの走向・傾斜・平均間隔などの情報を直接入力パラメータとして解析に反映出来ること, さらに解析結果としてジョイントのせん断・開口変位の分布が求まることである. 本研究では, 解析例として関西電力大河内発電所の地下発電所空洞掘削の問題を採り上げ, 解析結果と計測結果を比較することにより, 開発した解析手法の適用性を示した.
  • 酒見 卓也, 田中 満, 湯浅 欽史
    1996 年1996 巻547 号 p. 57-65
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では屋外貯蔵タンクの液状化対策工の一つである地盤拘束工法の沈下抑制効果を遠心力載荷試験機を用いて検証した. 既設タンクの多くは臨海の埋立地にあり, これらのタンクは地震時の液状化による不等沈下が懸念され, 関係法令による保安・管理基準の改訂に伴い緊急な対応策が求められている. 効果の確実な締固め工法は施工時の振動等が周辺施設に影響を及ぼすため既設タンクには適用できない. ここでは適用可能な工法として鋼矢板締切工法をとりあげ, 遠心力場における透水問題について実験・考察した後, 50Gの遠心力場において液状化実験を行った. その結果, 鋼矢板締切工法を適用することによりタンクの絶対沈下量及び不等沈下が未対策の場合の1/5以下に抑えられることがわかった.
  • 澤井 廣之, 塩井 幸武, 吉田 好孝, 境 友昭
    1996 年1996 巻547 号 p. 67-74
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭の支持力を杭の打設中に推定する場合, 杭に作用する地盤の動的貫入抵抗の値と, 杭打設後の地盤の支持力の回復率を測定する必要がある. 本論では, 波動理論に基づいて, 杭の周面及び先端での地盤の動的抵抗を測定する方法, および杭の打設終了後, 定期的に杭を打撃し, この時に杭に作用する地盤の抵抗を測定することによって地盤の支持力回復率を推定する方法を示す. 試験は, 東京湾横断道路で行い, 多点測定方法によって推定された杭の支持力と静的載荷試験による支持力値は非常に近い値となった.
  • 戸部 暢, 加藤 哲治
    1996 年1996 巻547 号 p. 75-86
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 厚い凍土壁を地下水が貫流している場合の凍結閉塞現象を論じたもので, 平板状の開口部内の凍土の成長を表わす計算式を新しく導出した. また, この場合の凍土壁の閉塞条件を明示し, 凍結閉塞しない場合には, 通常, 2個の平衡凍土面が存在することを示した. 実施工への応用として, 本研究の理論を適用したものを例示した.
  • 西岳 茂, 櫻井 春輔, 有川 究
    1996 年1996 巻547 号 p. 87-96
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    実験による事前検証は, トンネル縦断, 横断モデルによる二次元評価が実施され, 有用なデータが得られている. 本論では, 二次元実験の精度を更に向上させるため, 地盤中の土砂粒子の微小な移動現象を, X線ラジオグラフィー法を用い三次元可視化による歪解析を行った. そして, 各種切羽形状による切羽の安定性の比較を行い, さらに, 圧力制御実験により切羽安定に必要な限界支持力も明確にした. この実験より, 切羽を安定させるのに必要な圧力は Terzaghi 理論により得られる値の約20%であった. また、ベンチカット、加背割りモデルはいずれも全断面モデルの約50%程度であった. X線可視化実験は、トンネル切羽近傍の挙動を解明できる有効な手法である.
  • 鬼塚 克忠, 南里 勝
    1996 年1996 巻547 号 p. 97-106
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    含水比が高い建設発生土の有効利用を目的として, ポゾラン材料の添加による強度発現を評価する方法を提案する. そのために生石灰と火山灰・下水汚泥焼却灰などを用いて改良効果を検討した. まず含水比低減によって強度増加量を推定できることを述べる. つぎに生石灰と火山灰の添加により強度が増加することと, その改良強度がポゾラン材料の種類によって異なることから, 化学構成成分であるSiO2 (シリカ) とAl2O3 (アルミナ) 量による化学的反応に基づく強度発現特性の評価を試みた. その結果, SiO2+Al2O3量が強度発現特性を表現できるパラメーターとなることを見出した. さらにポゾラン反応の進行度とそれに基づく改良強度が化学構成成分量により異なることを明示する.
  • 風間 基樹, 稲富 隆昌, 飯塚 栄寿, 永吉 貴行
    1996 年1996 巻547 号 p. 107-116
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    飽和砂地盤上の盛土の地震時安定性に関する遠心力模型振動実験を実施した. 実験は模型縮尺が1/37.5 (正弦波加振), 1/50 (正弦波および地震波加振) の2つの模型を用いた合計3断面のステージテストである. 残留変形量, 加速度・間隙水圧応答を相似則により実物換算して考察するとともに, 加速度・間隙水圧を考慮した静的安定計算を行った. 主な結論は以下のとおりである. (1) 2つの異なる縮尺でモデル化した盛土の実物換算残留変形量は良い対応を示した. (2) 飽和砂地盤上の盛土の安定性は基礎地盤の液状化に影響される. 残留変形の生じた境界面は円弧状となったが, 滑り土塊は剛体的に挙動せず流動変形的な破壊モードを示した. (3) 盛土および基礎地盤の加速度・間隙水圧を考慮した安定解析は実験結果をうまく説明することができた.
  • 松井 保, 朴 三奎
    1996 年1996 巻547 号 p. 117-125
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最近, 山岳トンネルの地盤調査に比抵抗高密度探査が実施されるケースが増加し, 地山比抵抗の定量的評価に基づくトンネルの地山区分手法の必要性が高まっている. 本論文では花崗岩供試体の比抵抗測定行い, 岩石の比抵抗へ及ぼす間隙水の比抵抗, 岩石構成物質の比抵抗及び膠結係数の影響を調べるとともに, 岩石の比抵抗と弾性波速度がそれぞれ間隙率と一義的な関係にあることを用いて, 地山比抵抗を弾性波速度に換算する手法を提案した. 筆者らの提案手法に対して, 新鮮な花崗岩地層及び砂岩, 頁岩と礫岩の互層からなる堆積岩地層において, 比抵抗検層データと速度検層データを用いて検証した. さらに, 実際の鉄道トンネルにおいて比抵抗と弾性波速度の定量的評価による地山区分を行い, 実績支保パターンと比較することによってその適用性を確認した.
  • 橋口 公一, 上野 正実, 陳 忠平
    1996 年1996 巻547 号 p. 127-144
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1960年代以降, 種々の繰返し塑性モデルが提案されている. これらの中で, 特に下負荷面モデルは, 関連流動則に従い, 連続性条件, 滑らか条件および仕事率・剛性緩和を満たすとともに, Masing 効果を合理的に表し, 繰返し負荷挙動の予測に適用できる数学的な構造を有している. 本論文では, 下負荷面の概念を導入し, また, 異方性の発達を表現するため, 降伏面の回転すなわち回転硬化の発展則を定式化して, 土の弾塑性構成式を規定する. この構成式を適用して砂の排水および非排水条件下の単調, 繰返し負荷挙動の予測を行い, 実測値との比較により, その妥当性を実証する.
  • 谷本 親伯, 岸田 潔, 田畑 宏司, 吉津 洋一, 國井 仁彦
    1996 年1996 巻547 号 p. 145-157
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    原位置においてボーリング孔壁観察を行い, 得られた画像データをもとに不連続面の位置, 走向・傾斜, 開口幅等を画像処理により求めた. これらの結果を解析することにより, 2種類の不連続性岩盤のモデル化を行った. 一つは, 方向分析によって得られる不連続面群を用いた不連続体モデルである. 本研究では, 頻度, 面積, 開口幅を考慮した不連続面群の相対重要度を比較するパラメータの提案を行い, 実際の計測結果に適用を行った. もう一つは, 地質構造や不連続面の開口幅を考慮にいれて求めるき裂頻度をもとにした擬似連続体モデルの提案を行った. これにより, 変形性や透水性を検討する解析モデルや, ジオトモグラフィー解析などの精度向上に貢献する初期モデルの構築に利用できるものと考える.
  • 三浦 清一, 八木 一善, 川村 志麻
    1996 年1996 巻547 号 p. 159-170
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    噴出起源の異なる幾つかの北海道粗粒火山灰土について, 排水・非排水三軸圧縮, 平面ひずみ圧縮及び繰返し非排水せん断試験を実施し, それらの力学特性を調べた. 一連の実験と考察から, 1) せん断中に有効平均主応力が増加するような応力条件では構成粒子の破砕が確実にもたらされるものの, 繰返し非排水せん断過程で液状化に向かうような場合は粒子破砕はほとんど生じない, 2) 破砕性の卓越する火山灰土の応力―ひずみ―強度特性は有効拘束圧 (あるいは平均主応力) に強く依存するとともに, 通常の密度の砂ではみられない特異なダイレイタンシー挙動を示す, 3) 降下生成物で構成されている火山灰地盤の静的・動的力学特性にはクリーンな砂よりもはるかに強い異方性が存在する, 等の知見が得られた.
  • 風間 基樹, 柳沢 栄司, 稲富 隆昌, 菅野 高弘, 稲垣 紘史
    1996 年1996 巻547 号 p. 171-182
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震において神戸市による鉛直アレー観測システムは本震および一連の余震を捕らえた. 本論文は, このアレー観測データを用いて神戸ポートアイランドの地盤に発生した動的な応力-ひずみ関係を推定した結果を報告したものである. 応力は観測加速度記録を基にして地盤の慣性力を積分することにより求め, また, ひずみは各観測点間の相対変位量を観測点間距離で除して求めた. 各層の履歴変形特性を解析し, 地盤の剛性低下の進み具合, 本震と余震の非線形性の違い, 埋立土層の液状化過程などを推定した. その結果, 埋立まさ土層にはせん断応力比が0.4程度の外力が作用し, せん断ひずみが最大1~2%程度発生したと推定された. また, 埋立層は振動開始から5~7秒で完全液状化に近い状態になったと考えられることがわかった.
  • 石田 毅, 陳 渠, 水田 義明
    1996 年1996 巻547 号 p. 183-198
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1辺19cmの花商岩の立方体に直径2cmの破砕孔を穿ち, 粘度1cPの水と粘度80cPの油を用いて水圧破砕試験を行い, AEや圧力, ひずみなどを測定した. 水圧破砕によって生じた亀裂の幅や亀裂の進展挙動, AEのメカニズム解などを比較した結果, 次のことがわかった. すなわち, 粘性が小さく浸透しやすい水を用いた場合には, 亀裂幅の小さな微細な割れ目が網の目状に造成される傾向があるのに対し, 粘性が大きく浸透しにくい油の場合には, 亀裂幅の大きい分岐のすくない板状亀裂が造成される傾向があることがわかった. このことは, 粘性の異なる破砕流体を用いることにより, 水圧破砕で生じる亀裂の性状をある程度制御できる可能性を示しており, 現実の高温岩体発電の貯留層造成にも有用と思われる.
  • 松尾 稔, 木村 稔, 西尾 良治, 安藤 裕
    1996 年1996 巻547 号 p. 199-210
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    建設発生土を地盤改良材 (サンドコンパクションパィルなどの中詰め材) として再利用できれば, 環境問題解決の有効策として期待できる. 本論文で示す基礎的研究では, 建設発生土による地盤改良が施工された状況を想定して室内実験および数値解析を行い, 施工時に発生する過剰間隙水圧消散後の強度増加が実際に起こること, またそれが盛土荷重による強度増加とは独立に生じることを示した. さらに, プラスチックボードドレーンを任意位置に配置した場合の計算方法について, 模型実験と解析を通じて検討した.
  • 稲田 善紀, 木下 尚樹, 関 正造, 松尾 暁, 成行 惇, 越智 健三
    1996 年1996 巻547 号 p. 211-220
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地山岩盤内空洞に低温物質を貯蔵した場合, 空隙率の小さい花崗岩や砂岩岩盤では熱収縮による亀裂が空洞周辺に放射状に発生し, 空隙率の大きい凝灰岩岩盤の場合には間隙水の氷結膨張の影響を受け, 花崗岩の場合とは挙動が異なることを報告してきた. 本研究ではさらに空隙率の大きい泥岩を加え, 4種類の岩石について乾燥および湿潤状態での低温下における強度・変形特性および熱物性値を実験により求めた結果, 空隙率の大きい岩石では間隙水の影響を大きく受けることがわかった. 次にこれらの値の差異が低温物質貯蔵時の空洞周辺岩盤の熱的挙動に及ぼす影響について解析および実験により比較検討した結果, 花崗岩や砂岩の岩盤と凝灰岩や泥岩の岩盤とでは熱的挙動が異なることがわかった.
  • 強度特性に及ぼす応力履歴の影響
    三浦 清一, 八木 一善, 川村 志麻
    1996 年1996 巻547 号 p. 221-229
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では、数種の粗粒火山灰土の過圧密による繰返し非排水せん断挙動の変化を調べた. 得た結論は次のようである. 1) 粗粒火山灰土の過圧密による繰返し非排水せん断強度の変化割合Rsは, 通常の砂と同様に過圧密比のみによって表現できる (Rs=(OCR)m). なおこの関係は, 任意の繰返し回数, 任意の両振幅軸ひずみにおいて成立する. 2) 過圧密によってもたらされるこのような液状化強度の変化は, 構成粒子の脆弱性によって異なる. すなわち, 破砕性火山灰土では極めて高い強度の増加率 (m) を示すが, 非破砕性火山灰土では通常の砂と同程度のm値となる. 3) 脆弱な粒子から構成される粗粒火山灰土であっても, 有効応力の低減する繰返し非排水せん断過程ではその粒子破砕はほとんど無視できる.
  • 伊藤 洋, 坂口 雄彦, 西山 勝栄, 藤原 愛
    1996 年1996 巻547 号 p. 231-242
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤地下空間の有効利用に係わる技術的課題の中で, 岩盤サイトの止水性の改善に関する問題は, 本邦の岩盤に割れ目が多く透水性が大きいことも相まって最重要課題の一つとなっており, 有効な対策工法の確立が強く望まれている. 本論では, 低濃度の粘土懸濁液を, 岩盤割れ目系に長時間浸透させることにより, 徐々に流路を目詰まりさせて閉塞・止水させる方法を提示し, 2種類の大型の岩石供試体を用いたグラウト実験及びトレーサ注入試験によりその充填性及び止水効果を確認した. また, 濁質拘留モデルを用いた数値シミュレーションにより割れ目の目詰まり・閉塞過程の評価を行なった.
  • 高崎 英邦
    1996 年1996 巻547 号 p. 243-248
    発行日: 1996/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    NATMは標準工法まで発展してきたが, K. Kovari はNATMの概念や工学としての方法論に疑問を呈した. われわれは20年に渡る経験からその合理性と非合理性を合わせ持つ問題点に気付きつつあり, NATMを越えた新しいトンネル工学創出の時期に差し掛かっている. このノートでは, まず科学におけるトンネル工学の発展経緯とNATMの位置づけについて, 主として工学の方法論的側面から考察を加えている. 次いで, 今後のトンネル工学発展のために考慮すべきいくつかの検討課題を提案している.
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