抄録
本文では, 長さがl=200mおよびl=100mなる並列ケーブルモデルを対象として複素固有値解析を実施し, 減衰機能付きスペーサ方式 (並列ケーブルのほぼ中間に治具を介して粘弾性体を設置するタイプ) によって付加される減衰特性はケーブルのねじれ剛性の大きさに著しく依存すること, ケーブル中心間隔やケーブル径の差異によっても変化することなどを明らかにした. また, アスファルト系の粘弾性体を減衰材とばね材として使用した減衰機能付きスペーサを製作して実橋ケーブルに適用し, 本方式の実橋ケーブルにおける減衰付加特性を定量的に把握した. さらに, 実橋ケーブル試験結果と複素固有値解析結果との対比から, 実橋ケーブルのねじれ剛性を評価するなど, ウェイクギャロッピングの制振に関する実務上きわめて有用な技術資料を提供した.