抄録
本論文は, フィルダム堤体材料の室内試験によるせん断強度の求め方について整理し, ロック材料を用いた単調載荷試験と繰返し載荷試験結果を示し, ロック材料の動的強度特性に対する諸要因 (繰返し回数, ひずみ量, 相対密度, 初期拘束圧, 初期せん断応力) の影響を調べ, 静的強度と動的強度の関連性を検討した. 非排水繰返し載荷試験では, 繰返し回数の増加に伴いひずみが増大し, 間隙水圧は90%~100%近くまで急激に上昇するが, 液状化のような flow failure は起こらない. なおロック材料の単純せん断試験は国内外を通じて他に例がない. 以上のことから, ロックフィルダムの耐震設計に用いるべきロック材料の強度特性を明らかにした. 一方, ねじり単純せん断試験による繰返しせん断応力比は平均主応力・初期せん断応力の大きさによらず三軸試験のそれよりも小さい.