日本肘関節学会雑誌
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Ⅹ. 治療法
高齢者の上腕骨遠位端骨折・偽関節に対し一期的人工肘関節置換術を行った5例
安部 幸雄髙橋 洋平
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2020 年 27 巻 2 号 p. 375-377

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抄録
【目 的】高齢者の上腕骨遠位端粉砕骨折,偽関節に対し一期的に人工肘関節置換術(TEA)を行った治療経験を検討した.【対 象】症例は5例.全例女性で,右2肘,左3肘,年齢は72~80歳,平均77歳,骨折型は4例がC3-3,1例は73年を経過した偽関節であった.使用したTEA はNexel 4例,Discovery 1例であった.骨折例の受傷から手術までの期間は6~62日,平均24日,経過観察期間は26~42か月,平均35か月であった.【結 果】全例に疼痛はなく,可動域は平均値にて伸展-20度,屈曲129度,回内85度,回外90度,X線にて人工関節の弛み,沈下は認めていない.【考 察】上腕骨遠位端骨折,偽関節に対し高齢者といえども骨接合が原則であるが,粉砕例では骨粗鬆も伴い骨癒合自体が困難,リハビリに対する意欲が低い,早期にADLを確立するには安定した肘関節が重要,でありTEAの適応となる.今回,比較的早期に良好な機能回復を得ることができ,平均35か月の経過において問題を生じていなかった.
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© 2020 日本肘関節学会
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