1997 年 1997 巻 557 号 p. 145-157
本論文は, コンクリート中に埋め込まれたヘッド付きアンカーボルトの引抜き破壊強度に関する寸法効果を論じたものであり, 実務的な工学上の問題に破壊力学を応用した一例である. 軸方向引張力作用下でのヘッド付きアンカーボルトの引抜き挙動, すなわち, 周囲のコンクリートに発生するコーン状ひび割れの進展と, 最終的な引抜き破壊の解明のため, 本研究では直交ロッド要素を用いた仮想ひび割れモデルによる軸対称3次元解析を実施した. CEB研究委員会の提案している引抜き強度予測式との比較により, 数値解析結果の妥当性を検証した. さらに, 仮想ひび割れ位置を確定し, 引抜き破壊強度の寸法効果解析を行い, その程度を数値的に予測し, 設計上の問題を解析的に検討することが可能となることを示した.