2021 年 77 巻 2 号 p. I_1207-I_1212
2週間以上の降雨予測は気候モデルの精度が急激に低くなることが知られており,深層学習モデルの適用が期待されている.本研究はタイ,チャオプラヤー川流域を対象に5~10月までの雨季にかけて深層学習による1~3か月降雨予測を行った.その際深刻な観測データ不足を,非観測データであるCMIP5データセットを用いることで解決可能であるか検証した.結果,CMIP5の訓練データへの適応可能性を示した.長い予測リードタイムであっても深層学習は気候モデルに比べ,不確実性が増大しない特徴が明らかとなった.雨季の終始においては気候モデルを上回る予測精度を示し,S2S予測手の適用可能性を示唆した.